令和5年7月号 暑さに思う(熱中症)

 暑い日には冬の寒さが恋しく,寒いときには逆を想うように人間は勝手なものです。若い時分には平気であった暑さ寒さも歳を経るごとに堪えるように感じます。温暖化の影響で夏の平均気温が上がったのでしょうか。遠い昔のことで定かではありませんが,小学校時代の夏休み日記には真夏の当日最高気温は30度~31度と記載した記憶があります。ニュースでは本年5月17日に前橋市で36度,県内美郷町で32度でした。盛夏になれば地域によっては40度近い記録も報告されています。体温よりも高い気温では身の置き所がなくなります。

 国によれば,昨年熱中症救急搬送が7万人超,死亡者が千人超でした。体が暑さに慣れていない時期(暑くなり初め)の発生が多く,高齢者に多いようです。熱中症の発生が増えているのは,夏,冬ともエアコンの普及で,体が暑さ,寒さに順応できなくなっているのではないでしょうか。食物に季節感が少なくなっているように夏・冬の感覚も鈍くなっているのかもしれません。しかし,エアコンも気ままには使用できません。冷やし過ぎは健康によくなく,光熱費も考慮する必要があります。県医師会館では真夏でも室温は28度に設定しております。高齢者は室内でも熱中症で倒れる例が後を絶ちません。電気料金の問題でエアコンの使用を控えて熱中症になるケースもあるそうです。電気の供給と料金いかんによっては原発も再討議が必要になるかもしれません。以前は夏痩せと簡単に説明されていましたが,暑さによる食欲不振,易疲労感,等々があれば要注意です。手軽な対策として,古来よりの知恵である水撒きや夕方の汲み置きによる温水での行水も有効ではないでしょうか。

 往年のスポーツは一部我慢大会の様相でした。昨今はスポーツ現場での熱中症対策として飲料や氷の確保,クーリングテントの設置がなされているようですし,熱中症に対する講演や研修会が開かれて啓蒙・注意を喚起されています。先年の東京オリンピックのマラソン競技は,涼しい北海道で,しかもスタート時間を繰り上げられました。そのような対策で真夏の実施にもかかわらず大事故はなかったようです。同様にスポーツの練習や試合のスケジュールの見直しも必要になり,子どもたちの健康を守るために,夏休みの延長や前倒しも考慮すべきかもしれません。

 皆さん,熱中症に注意して元気で夏を乗り越えましょう。

令和5年7月号