平成29年08月号 警察活動と医師会

 最近は自然災害に伴う死亡例が多発しています。特に東日本大震災のような大規模災害時には多数の身元不明のご遺体があり、検視例も増加するものと予測されます。事件性のある場合には医学的見地からの検視・検案が必要とされ、従来は警察医の名称で、限られた先生方が警察活動を医療の面から支えられていました。しかし、業務が過酷になるにつれ警察医のなり手が少なくなり、この分野にも医師不足の波が押し寄せてきた感があります。その原因としては、様々言われていますが、法医学教室への入局者減少も影響しているものと思われます。医師の業務は多岐に渡ります。医師によっては、「生きている人しか相手にしない」と豪語する人もいます。しかし、医学部教育にもありますように、医療は生前から死後まで人の生涯に渡って関与しなければなりません。公衆衛生・予防医学等まで含めると、現在健康な人まで対象となります。
 検視、死体の身元鑑定等社会的にも重要な面を疎かにできないことから、政府の死因究明等推進計画を受けて、日医では「警察活動に協力する医師の部会(仮称)」を平成26年度に設立しました。日本警察医会は同年3月に発展的解散することになりました。各都道府県医師会に部会を設けるように提唱して、24医師会で設置済、16医師会で設置予定です(平成27年)。部会の名称は未だ仮称のままであり、日医は近いうちに正式名称を決定するようです。宮崎県では平成11年に設立された「警察協力会」を母体として部会を立ち上げました。部会内には県警察医会、整形外科医会、産婦人科医会、精神科医会を設置しています。部会の活動としては「死体検案研修会」「死亡診断書(死体検案書)作成の説明会」等を開催しています。
 更に、次に起こりうる大規模災害に備えての「死因究明等推進協議会」の設置については本県を含む23府県が未設置です(平成29年3月現在)。協議会未設置の理由として「関する法律が失効している」、「今後設置を検討したい」と述べられています。その他の課題として「読影のできる力量のある医師や検案医のなり手が不足している」、「撮影・読影の費用負担が不明確」、「警察からの依頼が特定の医師に集中している」等が挙げられています。
 従来の警察医の活動としては、「警察の検視への立ち合い」、「留置人の健康管理」、「警察職員の産業医的業務」等があり、新設部会の活動もこれに準じます。最近の特徴として検視・検案対象のうち、薬・毒物検査が増えているそうです。少し異なりますが、「認知症に関する診断対応機関」としては県内37医療機関が別途県警察から指定されています。
 災害地のJMAT派遣医師は死亡診断書・死体検案書を作成する機会も多いと推定されます。しかし、JMAT派遣医に検視まで定常活動として請け負わせるのは、少し過酷かもしれません。検案医を同行させる案については今後、検討するとしています。
会員諸氏におかれても大変お忙しい中ではありますが、「警察と医療」の重要性を鑑みられて「警察活動に協力する医師の部会(仮称)」へのご参加をお願いいたします。

(平成29年7月20日)