感染症サーベーランス

  保健予防課

衛生環境研究所

週ごとの一覧表           

 

 

 今年度のインフルエンザワクチン株 レプトスピラ症 鳥インフルエンザについて  重症急性呼吸器症候群(SARS)について  急性出血性結膜炎(AHC O157について  レジオネラ症について   日本の麻疹患者数と死亡者数   デング熱

 

■ 宮崎県第4週(1/25〜1/31)の発生動向

定点医療機関からの報告総数は1,799 人(定点あたり46.0)で、前週比82%と減少した。
感染性胃腸炎の報告数は925 人(25.7)で前週比104%とほぼ横ばいであったが、例年同時期の定点あたり平均値(15.1)の約1.7 倍と多い。小林(66.0)・日南(41.3)・都城(26.3)・中央(22.0)・宮崎市(21.2)・高鍋(20.5)保健所からの報告が多く、警報レベルを超えている。年齢別では1 歳から6 歳で全体の約6 割を占めた。
水痘の報告数は130 人(3.6)で前週比79%と減少した。例年同時期の定点あたり平均値(4.0)と比べても約9 割と少ない。都城(7.3)・延岡(6.0)保健所からの報告が多く、都城保健所管内では警報レベルを超えている。年齢別では1 歳から4 歳で全体の約8 割を占めた。
インフルエンザの報告数は487 人(8.3)で前週比46%と減少した。小林(16.0)・日南(14.2)・都城(10.8)保健所からの報告が多く,年齢別では5 歳以下が全体の33%、6-9 歳が26%、10-14 歳が21%、15-19 歳が4%、20 歳代-50 歳代が15%、60 歳以上が1%を占めた。

1 類感染症 : 報告なし。
2 類感染症 : 結核4 例が宮崎市(2 例)、都城・延岡(各1 例)保健所から報告された。
     《宮崎市保健所》・90 歳代の男性で肺結核。咳がみられた。
             ・30 歳代の女性で肺結核。痰がみられた。
     《都城保健所》 ・70 歳代の女性で肺結核及びその他の結核(粟粒結核)。咳、痰、発熱がみられた。
     《延岡保健所》 ・80 歳代の男性で肺結核。咳、痰がみられた。
3 類感染症 : 報告なし。
4 類感染症 : 報告なし。
5 類感染症 : 梅毒2 例が都城・日南(各1 例)保健所から報告された。
     《都城保健所》・30 歳代の女性で無症状病原体保有者。
     《日南保健所》・80 歳代の男性で無症状病原体保有者。

■ 全国第3 週の発生動向
定点医療機関あたりの患者報告総数は29.1 で、前週比121%と増加した。今週増加した主な疾患は感染性胃腸炎とインフルエンザで、減少した疾患は流行性耳下腺炎であった。
感染性胃腸炎の報告数は41,927 人(13.8)で、前週比131%と増加した。例年同時期(9.0)の約1.5 倍と多い。愛媛県(25.0)、宮崎県(24.8)、大分県(21.5)からの報告が多く、年齢別では1歳から5 歳で全体の約半数を占めた。
インフルエンザの報告数は43,436 人(9.0)で、前週比111%と増加した。沖縄県(36.7)、宮崎県(17.8)、山梨県(17.6)からの報告が多く、年齢別では5 歳以下が全体の27%、6-9 歳が23%、10-14 歳が17%、15-19 歳が8%、20 歳代から50 歳代が23%、60 歳以上が2%を占めた。


□全数把握対象疾患
1 類感染症 : 報告なし。
2 類感染症 : 結核301 例
3 類感染症 : コレラ1 例、細菌性赤痢3 例、腸管出血性大腸菌感染症14 例
4 類感染症 : A型肝炎1 例、つつが虫病4 例、マラリア1 例、レジオネラ症10 例
5 類感染症 : アメーバ赤痢12 例、ウイルス性肝炎2 例、急性脳炎5 例、クロイツフェルト・ヤコブ病1 例、劇症型溶血性レンサ球菌感染症3 例、後天性免疫不全症候群17 例、梅毒8 例、破傷風1 例、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1 例、麻しん10 例

 

トピックス 今年度(2006/2007冬シーズン)のインフルエンザワクチン株
日本のインフルエンザワクチン製造株
*Aソ連型 : A/New Caledonia(ニューカレドニア)/20/99(H1N1)
*A香港型 : A/Hiroshima(広島)/52/2005(H3N2)
*B型   : B/Malaysia(マレーシア)/2506/2004
 2006(平成18)年度の日本のインフルエンザワクチンは、上記3株のHA蛋白を含むもの(インフルエンザHAワクチン)となっています。これは、2006年2月に世界保健機関(WHO)が提示した、2006年11月-2007年4月の北半球世界でのインフルエンザワクチン推奨株と一致しています。また、2006年度の日本のインフルエンザワクチンは、Aソ連(H1N1)型については、2005年度と同一の株が選定されていますが、A香港型(H3N2)とB型については、2005年度と違う株が選定されています。

世界保健機関(WHO)は 2006年2月に 、2006年11月-2007年4月の北半球世界でのインフルエンザワクチン推奨株を 提示しています。これは、2005年10月-2006年2月の北半球世界でのインフルエンザの流行で多く流行したインフルエンザウイルスに抗原的に一番近いインフルエンザワクチンウイルスの株を、A香港(H3N2)型、Aソ連(H1N1)型、B型の中から一つずつ選んだものです。2006-2007年冬季のWHO(世界保健機関)による北半球世界におけるインフルエンザワクチンの推奨株は、Aソ連(H1N1)型については、2005-2006年冬季のWHO(世界保健機関)による北半球世界におけるインフルエンザワクチンの推奨株と同一のものとなりました。Aソ連(H1N1)型は、A/New Caledonia/20/99(H1N1)様株です。A香港(H3N2)型とB型については、2004-2005年冬季と違います。A香港(H3N2)型は、A/Wisconsin/67/2005(H3N2)様株が推奨されています。B型は、B/Malaysia(マレーシア)/2506/2004様株が推奨されています。なお、A/Wisconsin/67/2005(H3N2)とA/Hiroshima(広島)/52/2005(H3N2)とは、A/Wisconsin/67/2005(H3N2)様株です。また、B/Malaysia(マレーシア)/2506/2004とB/Ohio/1/2005とは、B/Malaysia(マレーシア)/2506/2004様株です。

レプトスピラ症

 ワイル病、秋やみなどに代表されるレプトスピラ症(leptospirosis)は、病原性レプトスピラ感染に起因する人獣共通の細菌(スピロヘータ)感染症である。病原性レプトスピラは保菌動物(ドブネズミなど)の腎臓に保菌され、尿中に排出される。ヒトは、保菌動物の尿で汚染された水や土壌から経皮的あるいは経口的に感染する。2003年11月施行の感染症法一部改正により、4類感染症となった。
症状:レプトスピラ症は急性熱性疾患であり、感冒様症状のみで軽快する軽症型から、黄疸、出血、腎障害を伴う重症型(ワイル病)まで多彩な症状を示す。5 〜14 日間の潜伏期を経て、発熱、悪寒、頭痛、筋痛、腹痛、結膜充血などが生じ、第4 〜6 病日に黄疸が出現したり、出血傾向も増強する。レプトスピラ症の臨床診断は見逃がしがおこりやすいが、臨床症状とともに、保菌動物の尿に汚染された水との接触の機会、流行地域への旅行歴などの疫学的背景が手がかりとなる
治療:軽〜中等度のレプトスピラ症の場合には、ドキシサイクリンの服用が勧められている。重度の症状の場合は一般にペニシリンによる治療が行われる 。他のスピロヘータ感染と同様に、レプトスピラ症の治療にペニシリンを用いた場合はJarisch‐Herxheimer 反応(抗菌薬投与後に起こる、破壊された菌体成分によるとみられる発熱、低血圧を主症状とするショック)がみられることがあるので、静注投与を受けた患者の観察が必要である。
 レプトスピラ症の予防として、現在日本では、血清型copenhageni,australis, autumnalis, hebdomadis の4血清型の全菌体ワクチンが製造されている。しかし、レプトスピラに対する免疫は血清型に特異的であるとされており、ワクチンに含まれていない血清型の感染に対する予防効果は不明である。また薬物予防として、ドキシサイクリンの効果が報告されている。

トピックス 鳥インフルエンザについて(微生物部ウイルス科)
 インフルエンザウイルスにはA, B, Cの3つ型(属)がある。このうちA型とB型は、粒子の表面にHemagglutinin(HA:血球凝集素)とNeuraminidase(N:ノイラミニダーゼ)と呼ばれる感染に際して重要な役割をになう二種類のスパイクを持っている。A型のHAにはH1〜H15の15種類が、NにはN1〜N9の9種類があり、A香港型インフルエンザウイルス(H3N2)やAソ連型インフルエンザウイルス(H1N1)のように、A型はHAとNの種類の組み合わせでも表現される。一方、B型はヒトのみに感染し、C型はヒト以外に豚にも感染することが知られ、A型にも、ヒトに感染するもの以外に、他の哺乳動物あるいは鳥類に感染するものがある。また、ヒト以外の哺乳動物や鳥類で流行するA型が、新型のインフルエンザウイ
ルス誕生の起源となることはあるが、特殊な例を除いてヒトに直接感染することはない。
 山口県内の採卵鶏農場で高病原性鳥インフルエンザが発生した。原因は、鳥の間で流行するH5N1型と呼ばれるA型インフルエンザウイルスであることが確認されている。現在、鶏を主とした他の鳥への感染と被害の拡大を防止するために、部外者の発生農場への立入制限、飼養鶏全羽の殺処分、卵の出荷自粛、鶏舎の消毒、周辺農場における移動の制限、感染経路解明のための疫学調査等が精力的に実施されている。香港で1997年にH5N1型によるインフルエンザが鶏の間で流行した際に、ヒトの感染例と死亡例が発生した。しかし、これらは生きた鳥との濃厚な接触等により発生した特殊な事例で、養鶏従事者や獣医師等の関係者については注意を払う必要があるが、このウイルスが鶏卵や鶏肉を通して一般の消費者に感染することはない。現在とられている対策や措置から一般市民への感染の可能性を示唆するようなイメージを受けがちであるが、特殊な例を除いてヒトには感染しないことを認識していただきたい。
 なお当所でも、特殊な事例であるが、ヒトの感染例に備えて、ウイルス分離、RT-PCRによる遺伝子検出、抗体測定などの検査手段の整備を行いつつある。また、近年多くの臨床現場で使われている迅速インフルエンザ抗原検出キットによってはH5N1型を検出できるものもあり、メーカーに確認していただきたい。

トピックス 急性出血性結膜炎(AHC)

急性出血性結膜炎(AHC)は、主としてエンテロウイルス70 (EV70)とコクサッキーウイルスA24変異株(CA24v)の二つのエンテロウイルスによってひきおこされる、激しい出血症状を伴う結膜炎 である。両ウイルスともヒトからヒトへ直接接触伝播する。EV70は1971年、当時国立予防衛生研究所ウイルス中央検査部長であった甲野禮作らによって発見されたウイルスで、北海道で分離された株が標準株になっている。CA24vはEV70とほぼ同時期の1970年に、東南アジアで流行していたAHC 患者から分離されたウイルスである。同じ病原性を持ったエンテロウイルスが時期を同じくしてヒト社会に出現した理由は、今もって謎である。AHC と診断された患者からは主にEV70 やCA24vが分離されるが、アデノウイルスなどのその他のウイルスが分離されることもある。
【臨床症状】
 EV70とCA24vによる結膜炎は臨床的に酷似するので、臨床症状による病原ウイルスの鑑別は 難しい。突然の強い目の痛み、異物感、羞明などで始まり、結膜の充血、特に結膜下出血を伴うことが多い。眼瞼浮腫、眼脂、結膜濾胞、角膜表層のび慢性混濁が高頻度にみられる。
全身症状としては頭痛、発熱、呼吸器症状などがみられる。潜伏期はEV70が平均24時間である のに対し、CA24vでは2〜3日とやや長い傾向にある。通常、約1週間で治癒するが、EV70 では 罹患後6〜12カ月に四肢に運動麻痺を来すことがあるので、経過観察をする上で注意が必要である。         (IDWR2002年第33週号より一部転載

トピックス 腸管出血性大腸菌感染症の臨床症状と病原診断

  2003年の腸管出血性大腸菌感染症の報告数は、過去4年間と比べて比較的少なく推移してきた。特に第31〜33週は通常報告数が多い時期であるが、本年の報告数は各週ともに100例に満たず、少なかった。しかしながら、第34週には現在までのデータで162例と報告数は大幅に増加した。
 第35週の報告数は今のところ156例で(昨年の同時期は121例)、性別では男83例、女73例であり、うち有症者は106例で、報告例全体の68%であった。都道府県別では多い順に福岡県31例、石川県25例、大阪府15例、兵庫県9例などであった。5歳毎の年齢階級別にみると(0歳、1〜4歳、70歳以上は別扱い)、1〜4歳56例、5〜9歳25例、10〜14歳14例と、1〜4歳の報告数が多かった。これは保育所、幼稚園関連の症例が多かったためと思われる。
血清型についてはO157が110例、O26が29例であった。血清型とベロ毒素の型の組み合わせでは多い順にO157 VT2が50例、O157 VT1・VT2が48例、O26 VT1が29例などとなっている。2003年の第35週までの累積報告数は1,660例(昨年の同時期は2,404例)となっており、昨年よりは少ないものの、集団発生の報告は続いていることから、依然として注意を要する。
今年に入って、死亡例(届け出時点)は2例が報告されているが、第35週では今のところ重症例の報告はない。
【臨床症状】
 腸管出血性大腸菌感染症は、O157をはじめとするべロ毒素産生性の腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic E. coli,EHEC)で汚染された食物などを経口摂取することによっておこる腸管感染が主体である。また、ヒトからヒトへの二次感染も問題となる。その症状は、無症候性から軽度の下痢、激しい腹痛、頻回の水様便、さらに、著しい血便とともに重篤な合併症を起こし死に至るものまで、様々である。多くの場合、3〜5 日の潜伏期をおいて、激しい腹痛をともなう頻回の水様便の後に、血便となる(出血性大腸炎)。発熱は軽度で、多くは37 ℃台である。血便の初期には血液の混入は少量であるが次第に増加し、典型例では便成分の少ない血液そのものという状態になる。有症者の6 〜7%において、下痢などの初発症状発現の数日から2 週間以内に、溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome, HUS)、または脳症などの重症な合併症が発症する。HUS を発症した患者の致死率は1 〜5%とされている。
【病原診断】
 確定診断は、糞便からの病原体分離とベロ毒素の検出によってなされる。それには、便培養による菌の分離、および生化学的同定、血清型別、ベロ毒素試験等を行うことが必要となる。患者の便はそのまま、あるいは100 倍に希釈して直接分離培地に塗抹し、37 ℃で18〜24 時間培養する。
 腸管出血性大腸菌O157の分離には、ソルビトール・マッコンキー培地(CT‐SMAC がよい)上で灰白色半透明のソルビトール非分解集落を10個程度釣菌後、確認同定する。O157 以外の血清型の腸管出血性大腸菌の分離のために、ソルビトール分解集落(桃色、赤色)も同様に釣菌後、確認同定する。スライド凝集反応は、ソルビトール非分解集落からの菌苔についてはO157 抗血清を、ソルビトール分解集落からの菌苔については、O26 、O111 、O128 など腸管出血性大腸菌の血清型として報告のある抗血清を用いて行うのがよい。
 患者に血便、HUS の症状がみられるのに、分離株が市販の病原性大腸菌免疫血清に凝集しない場合には、典型的な血清型以外の腸管出血性大腸菌の可能性があるので、分離大腸菌株すべてについて毒素産生試験を行うことが望ましい。腸管出血性大腸菌の毒素産生性試験に関しては、免疫学的検査(酵素抗体法等)及びPCR 法を用いた遺伝子検査がある。
IASR 2002年第6週より一部転載


トピックス 〜重症急性呼吸器症候群(SARS)について〜
香港の研究者は3月22日病因ウイルスを特定し、それが新種であることを確認し、現在診断法の作成を行っていると述べたが、それが完成すればSARS患者の診断・治療が迅速になることが期待される。患者の大部分は患者や患者家族と密接に接触した医療関係者である。香港の保健当局は、患者と同じ事務所で働いていた2名が就業中に感染したと述べた[Moderator注: 感染患者は同僚3名とした報道もある]香港当局はすべての学校を消毒するよう命じ、3月22日にこの感染症に罹患した生徒・職員が発生した学校全てを1週間閉鎖した。教育当局責任者は家族に患者が出た生徒約180名に3月24日から1週間登校を中止するよう指示していると述べた。当局では5校がすでに閉鎖を命じられたと述べている。香港大学の研究チームは3月22日、患者の抗体を検知する初のSARS診断検査法を作成していると発表した。この検査法を用いれば感染後5日から14日後の患者を診断できるようになる。香港の医師達は患者を抗ウイルス薬であるリバビリンと副腎皮質ステロイド剤で治療している。医師団は治療が感染早期から開始されれば、この処方は大部分の患者に有効であると述べている。香港保健当局責任者は3月22日、新たに死亡患者が1名発生し、香港市内の死亡患者数は8名となったと発表した。3月22日には香港での患者数は247例に増加し、その内の242名が完全な肺炎に罹患している。
Reuters UK.より
CDC http://www.crimeaclub.com/hica/topic/sars1.html
厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/topics/2003/03/tp0318-1.html

トピックス 宮崎県の麻疹発生状況について
 はしかは、1年のうちおもに春から初夏(3月から7月)にかけて流行するが、宮崎県では、昨年末から主に延岡、都城保健所管内で患者さんの報告が多く地域的な流行が発生している。年齢別でみると1歳で最も多く、全体の26%を占めている。幼児はもちろん大人も、ワクチン接種を勧奨したい。

トピックス 日本の麻疹患者数と死亡者数

1.麻疹患者数
1) 近年の傾向
1999(平成11)年4月1日より施行された「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)に基づいた発生動向調査では、約3,000の小児科医療機関(定点)および、約500の基幹病院(定点)から麻疹患者数が報告されるシステムとなっている。
この調査による患者報告数は、年間1〜3万人であるが、実際にはこの約10倍程度の患者が発生していると考えられている。近年の推移を見ると、小児科定点から報告された麻疹患者数は、1999(平成11)年には過去最低となっていたが、2001(平成13)年は過去10年間では1993(平成5)年に次いで二番目に大きい流行であった。一方、成人麻疹(18歳以上)患者報告数は1999(平成11)年4月から開始された調査であるが、2001(平成13)年は過去最多である。
2)流行状況の特徴
年齢別に比較すると、1歳代が最多であり、次いで6〜11か月、2歳の順で、2歳以下の患者報告が49%を占めている。現在の麻疹流行の中心的な役割を、この低年齢層が担っていることを強く認識しておく必要がある。また成人麻疹の中では20〜24歳群が最も多く、次いで10歳代後半、25〜29歳の順である。
季節的な傾向としては、第20週前後をピークとして初春から初夏にかけて患者発生が多い。
地域的な傾向は、都道府県での格差がみられ、近年は全国規模の大流行ではなく、地域単位の流行となっている。患者の多い県と少ない県が隣り合って混在しているのが近年我が国の麻疹流行の特徴である。

2.国内の麻疹による死亡者
 我が国では麻疹による死亡例が毎年報告されており、厚生省(現:厚生労働省)の人口動態統計をみると、数千人の麻疹による死亡者が出ていた50年前と比較すると、死亡数の減少は著しい(図)。また年齢階級別の比較では、0〜4歳児の死亡が大半を占め、特に0、1歳児の占める割合が多い。
(IDSC「感染症トピックス」より転載)

トピックス レジオネラ症について
宮崎県内でレジオネラ菌による集団発生がおこりました。レジオネラ症の疑いのある患者を診察された際は、もよりの保健所へ情報提供をお願いいたします。

【疫学】院内感染、市中感染ともに季節によらずみられ、特にヨーロッパではしばしば旅行と関連してもみられる。人から人への感染はない。レジオネラ肺炎は市中肺炎の3 〜10%を占め、潜伏期は2〜10 日である。一方、ポンティアック熱は、発病率が95%、潜伏期間が1 〜2 日である。
1999 年4 月から始まった厚生労働省発生動向調査によると、2001 年12 月までに294 例報告されている。季節によらず発症がみられ、中高年に多い。2000年3月に静岡県の温泉における集団発生では23名(2名死亡)、2000年6月に茨城県の入浴施設では45名(3名死亡)が発症した。ポンティアック熱では、1994年に東京都内で開催された研修会での冷却塔に由来する集団発生例がある。

【病原体】レジオネラ属菌、特にレジオネラ・ニューモフィラによることが多い。レジオネラは本来土壌細菌であるが、冷却塔、給湯系、渦流浴などの人工環境にアメーバを宿主として増殖している。冷却塔には血清群1 、温泉や24 時間風呂には血清群4,5,6 のレジオネラ・ニューモフィラが多い。

【臨床症状】レジオネラ肺炎は、臨床症状では他の細菌性肺炎との区別は困難である。全身性倦怠感、頭痛、食欲不振、筋肉痛などの症状に始まり、乾性咳嗽(2 〜3 日後には、膿性〜赤褐色の比較的粘稠性に乏しい痰の喀出)、高熱、悪寒、胸痛が見られるようになる。傾眠、昏睡、幻覚、四肢の振せんなどの中枢神経系の症状が早期に出現するのも本症の特徴とされる。胸部X線所見では肺胞性陰影であり、その進行は速い。ポンティアック熱は、突然の発熱、悪寒、筋肉痛で始まるが、一過性で治癒する。

【病原診断】市販キットによる尿中抗原の検出は特異性が高く簡便迅速なため、最近普及してきた。菌の分離にはレジオネラ専用の培地を用いる必要がある。検体中の菌はグラム染色では染まらないので、ヒメネス染色やアクリジンオレンジ染色を行う。また、患者の肺組織や痰など呼吸器由来の材料から、レジオネラ属菌を分離するのも可能である。環境から分離された菌との同一性が問題になるので、環境水やそこからの分離株も、患者由来の菌種が確定するまでは保存しておくことが必要である。

【治療・予防】レジオネラは細胞内寄生細菌であるので、宿主細胞に浸透するエリスロマイシン、リファンピシン、ニューキノロンなどの抗菌薬を使用する必要がある。有効な抗菌薬の投与がなされない場合は、7 日以内に死亡することが多い。エアロゾルの発生する可能性のある温水は、適切な殺菌剤による処理をおこなうか、換水するなどの留意が必要である。また、高齢者や新生児のみならず、細胞性免疫機能が低下した者では肺炎を起こす危険性が通常より高いので、特に留意する必要がある。

【感染症法における取り扱い】レジオネラ症は4 類感染症全数把握疾患となっており、診断した医師は7 日以内に最寄りの保健所に届け出る。報告の基準は以下のとおりである。
○診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下のいずれかの方法によって病原体診断や血清学的診断がなされたもの
・病原体の検出・病原体の抗原の検出・病原体の遺伝子の検出・病原体に対する抗体の検出

 

 

トピックス デング熱ついて
平成20年6月 県内で初めてデング熱の報告がありました。
デング熱は、デング熱ウイルスを保有する蚊(ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ)に刺されることにより感染します。症状は、3 から15 日(通常5〜6 日)の潜伏期後に38 度から40 度の突然の発熱に始まり、激しい頭痛、目の奥の痛み、関節痛、筋肉痛、発疹が現れます。
治療は、一般に対症療法のみで特効薬はありません。死亡率は1%以下ですがまれにデング出血熱という重篤な病型を引き起こす場合もあります。
日本国内での感染やヒトからヒトへの直接感染はなく、海外で感染した人が国内で発症しています。アジア及び中南米を中心に流行がみられ、今年もフィリピン、マレーシア、インドネシア、ブラジル、ペルーで多くの感染者があり、死亡者も確認されています。
予防接種も予防薬もありませんので、蚊に刺されないようにすることが唯一の予防法です。防虫スプレーや蚊取り線香の利用、長袖、長ズボンの着用をおすすめします。
詳しい海外の感染症情報は厚生労働所のホームページをご覧ください。URL:http://www.forth.go.jp