健康Q&A

腹部大動脈瘤 破裂考え大きさ診断

質問 近くの医院に高血圧で通院中ですが、腹部大動脈瘤(りゆう)を指示されました。特に自分では何も症状がありません.今後どのようにしたらよいでしょうか.(都城市男性.65歳)

答え 腹部大動脈瘤とは,おなかの中心部を走っている大動脈(ふつう直径2センチ以下)が,風船のように膨れて大きくなっている状態をいいます.原因はほとんどが動脈硬化によるものです.

 症状は腹痛,腰痛等の痛みを感じる場合もありますが,ご質問のように特に何も症状がない場合が多く,気付かずにすごされている方も多いと思われます.しかし症状がないといっても決してそのままにしてよい病気ではありません.

 もともと2センチ程度の動脈が膨れて大きくなっているわけですから,なにかのきっかけで破裂することがあるからです,動脈瘤が破裂すれば一大事で,激しい腹痛,腰痛とともに急激な血圧低下がおこり命を落とすことになります.腹部動脈瘤は大きさが4センチ以上になると破裂する可能性が高くなるとされていますが,いつ破裂するかというと,これは正確に予測することはできません.

 今のところ動脈瘤の破裂を予測することは困難なため,4センチ以上の動脈瘤は手術を受けた方がよいといえるでしょう.手術は動脈瘤の部分を人工血管で置き換える方法がとられます.4センチ以下の小さな動脈瘤の場合は,内服薬によって血圧を下げる治療を行いながら,3か月から6か月ごとに瘤の大きさを観察していく方法がとられます.結局,まずご自分の動脈瘤の大きさを正確に知ることが大切です.大きさの診断は超音波検査もしくはCTスキャンで簡単に行うことができます.

 ご質問ではご自身の動脈瘤の大きさが不明のようですが,早くお近くの病院もしくは医院(内科または外科)に相談されることをおすすめします.動脈瘤が破裂する前に手術をうける場合,心臓病などの重大な合併症がないがぎり手術の危険性はあまりありませんが,破裂してから緊急手術を行えぱ手術死亡率は50%以上にもなります.どんな病気でも早めの対処が一番安全といえるでしょう.(宮崎県医師会 福島靖典)

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