健康 Q&A

顔面神経麻痺(原因で治療法異なる)

質問:朝、洗面所で口をすすぐと左の口唇から水がもれ、鏡の前で口を開くと、右側に引っぱられ、左眼が完全に閉じれません。かかりつけの内科の先生に相談したら、顔面神経麻痺と言われました。原因と治療法について教えて下さい。(宮崎市、53歳、男性)

解答:顔面神経麻痺は末梢性顔面神経麻痺と中枢性顔面神経麻痺があります。麻痺している側の額にしわをよせることができるのは中枢性、額にしわをよせることができないのは末梢性として区別することができます。一般的には、症状は末梢性の方がより重症です。

 中枢性の顔面神経麻痺の最も多い原因は脳梗塞で、この時は舌の麻痺も同時に存在することが一般的です。

 末梢性では、まず帯状疱疹ウイルスによるハント症候群があげられます。この時は麻痺側の耳介部に水疱がみられ、疼痛を訴えることが多いようです。種々の末梢神経障害をひき起こす全身性の疾患、側えば糖尿病でも末梢性の顔面神経麻痺を合併することがあります。脳幹部の脳梗塞では末梢性の顔面神経麻痺に反対側の半身麻痺、眼の運動障害を伴います。

 最も多い末梢性顔面神経麻痺は、ベル麻痺と呼ばれ、質問の患者さんもこれに相当するように思われます。原因不明と言われていますが、多くはウイルス感染、もしくはウイルス感染によるアレルギーと考えられています。

 ベル麻痺の場合、治療は副胃皮質ホルモン、ビタミン剤の内服が中心となります。閉眼が十分できない場合は点眼薬、眼帯の装着も必要となります。ハント症候群では抗ウイルス剤を使用することがあります。通常、ベル麻痺では2−3カ月問で改善傾向を示しますが、ハント症候群では重症の後遺症を残すことが多いようです。

 前に述べましたように、原因が様々で、それによって治療法が異なりますから、神経内科、耳鼻咽喉科、脳神経外科の専門医を一度受診して下さい。(宮崎県医師会赤嶺俊彦)

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