健康Q&A

頭痛の治療法(正しい診断前提)

 

質問 平成4年2月に脳梗塞(こうそく)で3力月入院しました。退院後から頭が痛くで治りません。痛み止めの薬を飲んでも一時的です。明るい方を見ると目がチカチカする時があります。頭の痛みを少しでも和らげる治療法はないものでしょうか。(78歳、男性児湯郡)

 

答え 一生に一度も頭痛を経験しないという人はほとんどいないと思われます。神経内科の外来を訪れる人の約半数は何らかの頭痛を訴えられます。中には、くも膜下出血や髄膜炎、脳腫瘍(しゅよう)といった重大な病気も含まれていますが、大多数の頭痛は慢性で直接命にかかわるというものではありません。

 ご相談の方の頭痛は慢性頭痛にあたると思われます。慢性頭痛で最も頻度の多いのが緊張型頭痛といわれるもので、肩、首筋、こめかみ辺りの筋肉の凝りによって痛みが出てきます。痛みの性質は後頭部もしくはこめかみ部、場合によっては眼の奥などに押さえつけるような持続性の鈍痛を感じ、ストレス、疲労、肩凝り、天候などが誘因となることが多いようです。一種のライフスタイル病ともいわれ、日常の心身のリラクセーションが大切です。

 治療としては筋肉の凝りを和らげるような薬物や軽い精神安定剤などを使いますが、凝った筋肉のマッサージなども有効です。その他の頭痛には、ズキズキするような血管の拍動に一致した 痛みを特徴とする偏頭痛、表面のキリキリするような痛みで神経の走行に沿った圧痛を認める神経痛(これは頭の後方が痛む大後頭神経痛と頭を含む前方の痛みをきたす三叉=さんさ=神経痛があります)などがあり、原因によって治療法は異なってきます。

 老年者では偏頭痛に似た血管性の痛みをきたす側頭動脈炎なども可能性がありますが、非常にまれな病気です。その他にうつ状態に伴う頭痛もありますが、痛みの性質は緊張型頭痛にも似たところがあり、その他の抑うつ症状を伴います。冶療は抗うつ剤を中心とした薬物療法に心理療法を加える場合もあります。お手紙の内容から、この方も少し抑うつ傾向があるかもしれませんが、診断はあくまでも診察した上でなすべきで断定はできません。その疑いがあれば主治医とご相談の上、一度精神料の先生に診てもらわれるのも得策ではないかと思います。

 もう一つの可能性としては脳梗塞を契機として頭痛ができているようですが、その場合に視床痛という症状があります。これは神経内科もしくは脳外科で判断してもらった方がよいでしよう。いずれにしても頭痛の正しい診断と、それにあった冶療を受けることが大切です。

(宮崎県医師会 鶴田和仁医師)

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