おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

第10回 3月8日放送分
レジオネラ感染症
 
宮崎県医師会 理事 和田徹也

 

     〜温泉や風呂で感染する/場合によっては致命的/その予防とは〜

 日向市の温泉で感染し集団発生しました。しかもその規模と程度は過去に例がなく全国ニュースで騒がれ、厚労省は本格的疫学調査を学術的に開始しました。これまで国の「感染防止マニュアル」はあったのですが、その効力は今ひとつの見方もあります。その結果、今後強力な規則化も考えられます。その前に全国的に県の条例改正化が進行中です。(1)水質や施設構造の基準を決める(2)自主検査と報告義務、そしてそれらの情報の公表義務(3)責任者の義務などで、公衆浴場法の懲役刑も含む罰則強化される方向です。  

レジオネラ菌とは また何処にいるの?  

 どこの土や川など普通に生息、20〜50度で増殖、我われの周りでは空調冷却塔や循環式浴槽さらには、給湯水、加湿器水、噴水などで検出     

感染経路は?

     菌で汚染された水のエアロゾルを吸入、吸引、嚥下し肺に入ることによる。人から人はうつらない

どんな人が感染しやすいの?

     基準値・10個/100ml以下(厚労省)なら一般に大丈夫、健康人ならそれ以上でも感染ないが、免疫不全者、高齢者、新生・乳児者、呼吸器疾患者、糖尿病者、大飲酒者、喫煙家、疲労者などは要注意

どんな症状がでるの?

     2種類のパターンがある

(1)肺炎型;潜伏期2〜10日、だるい・頭痛・食不振・筋肉痛・3日以内に風邪症状(発熱・痰と咳)精神・神経症状(物忘れ・傾眠・幻覚・ふらつき)肺炎は適切な処置ないと7日以内に死亡

(2) ポンティアック型;インフルエンザ様で5日以内に自然治癒する

   自分の身を守る対策はどうすれば?

1. 水が長く溜まっている所は危ないという認識

2. 家庭の風呂はよく掃除をする・循環式は湯の入れ替えを早める

3. 身体を洗ってから浴槽に入る

4. 温泉の事前の情報; 循環式浴槽か否か・掃除はきちんとされて入れ替えてるか・消毒は(残留塩素濃度は0.2〜0.4mmg/Lが基準)・菌の検査はいつやったか(3週間が理想)・貯湯タンクは60度以上か こんな質問に答えてくれると対応されてると判断される。循環式の気泡浴湯・あまりに大きな浴槽・混みあう浴槽は注意。湯が浴槽から溢れているのが安全

5. 露天風呂では身体を洗わない(汚染率が高い)

 本菌は環境細菌と言われ、どこでもいます。利便で豊かな環境とともに菌も増殖、反面、抵抗力をなくす人の存在で感染し易くなります。浴用水で本菌発生確率;個人住宅70%、公衆浴場30%、老人ホーム50〜60%(日本感染症学会)もあるようです。社会福祉施設等の循環式浴槽の衛生把握不足の改善が求められています。