おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

  平成16年12月11日放送

関節鏡について

宮崎県整形外科医会 栄 四男

 関節のケガや病気の診断と治療に有力な道具として関節鏡があります。関節鏡は1959年渡辺正毅先生が21号関節鏡を開発し実用化に成功して以来、世界中に拡まった数少ない日本で開発された器械です。
 その後関節鏡用高感度高画質カラーTVシステムの普及から現在の発展に至っています。関節鏡は直径4mmないし2,4mmの金属製の筒状の物で関節直上の皮膚に長さ1cm弱の切開を行い関節鏡を刺し込みカメラヘッドを装着しTVモニターに映し出し関節内を観察します。明るく拡大された視野の下に直視下よりも正確な病態把握ができ細かな手術操作が可能です。
 現在膝関節以外に肩,肘、手,股、足関節の疾患の診断と治療に必須の道具となっています。さらに最近では手根管開放術や腰の椎間板ヘルニアの手術にも応用されています。
 関節鏡が最も威力を発揮するのがスポーツ選手やスポーツ愛好家のケガの治療でしょう。投球肩障害、膝の半月板損傷、靭帯損傷等の関節鏡視下手術で治療し早期のリハビリテーションが開始されスポーツに復帰できる人も多いようです。一方高齢化社会になり膝の変形で痛みに悩まされている方も多くなっています。 肥満の人は減量し下肢の筋力訓練やヒアルロン酸の関節注入等の治療でかなりの人がよくなると思われますが、中には変性した半月板による痛みの人もいます。この場合には関節鏡視下に半月板切除を行えば痛みが軽減することがあります。ぜひ近くの整形外科医に相談されることをお勧めします。