おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

  平成17年1月22日放送

若年者と子宮頸癌について

宮崎県産婦人科医会 嶋本 富博

厚生労働省が子宮頸癌の実施開始年齢を引き下げることを勧告し現在多数の市町村で実施にむけて調整が図られています。

今回もう一度その意義についてお話したいと思います。

子宮頸癌の発ガンについてはHPV(human papilloma virus)が関与しています。このvirusは性行為により感染し思春期から20台で多くの女性が感染します。アメリカのある研究では女子大生の30%が感染の既往があるとの報告もあります。もちろんすべての感染女性に発癌するわけではありません。多くの女性では自然に子宮頸部からは排出されます。一部の持続感染した女性の中から発癌していくわけです。持続感染後前癌病変から10年近くを経て癌化していくわけです。その癌化の途上で癌検診により発見しようと言うのが今回の勧告につながっています。感染してから癌化するまでに発見するためにも20才代より40才代までにしっかり癌検診を行うことが自分の子宮、身体を守ることになります。HPVは決して稀な特殊なvirusではありません。感染を防ぐことは現実的ではなく、その結果としておこる可能性のある子宮頸癌を早期発見することが必要です。欧米では70?80%の若年女性が子宮頸癌検診をうけています。それに比べ日本では10%以下ともいわれています。現在HPVに対するワクチンが開発されていますので将来は風疹ワクチンのように全ての女性にワクチンを打ち子宮頸癌が撲滅される日が来るかもしれませんが、それまでは自分の命を守るためそして自分の子孫を守るためにも20才になったら子宮頸癌検診を受ける習慣をつけて下さいちなみに。昨年も当院では子宮癌の根治手術を受けた方の平均年齢は40才で若い女性の脅威となっています。