おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

 平成17年2月12日放送
スギ花粉症
 
          
            宮崎県眼科医会 高倉 玄太

 花粉症の正体は、花粉に対して人間の体が起こす異物反応です。体の免疫反応が、花粉に過剰に反応して花粉症の症状がでるのです。

体が花粉を外に出そうとするために、「くしゃみ」で吹き飛ばしたり、「鼻水」「涙」で花粉を洗い流そうとしているのです。

スギ花粉は2月から4月に飛散します。

気温が高い、雨が少ない夏の気候のもとでは、スギの花粉の生産が多くなります。2004年の夏はこの条件が整っていたため、2005年の飛散するスギやヒノキの花粉は多いことが予想されています。

日本の花粉症の人は3050歳代に多く、日本の人口の約16%(1998年の推計)だと考えられています。近年、花粉症の人は増加していると考えられますが、どの程度増加しているのかは分っていません。

花粉症以外のアレルギー疾患をもっている方や、家族の方が何らかのアレルギー疾患を持っている人は、それのない人に比べて、花粉症になりやすいと考えられています。

大量の花粉に出会うと、体が花粉に対する抗体を産生する可能性が高くなります。スギに対する抗体をたくさん産生すると、何らかのきっかけでスギ花粉症を発症しやすくなります。マスクやうがい、洗顔、めがね等で予防するように心がけましょう。

花粉症の診断の多くは、花粉飛散シーズン中の症状の有無と血液中にある花粉に対する抗体の存在で診断されます。

花粉症の症状が起こりはじめたごく初期では、粘膜にまだ炎症が進んでおらず、この時期に治療を開始すると粘膜の炎症の進行を止め、早く正常化させることができるため、花粉症の重症化を防ぐことができます。

一般的な注意事項として、睡眠を良くとること、よい生活習慣を保つことは、正常な免疫機能を保つために重要です。風邪をひかないこと、お酒の飲みすぎに気をつけること、タバコを控えることも鼻の粘膜を正常に保つために重要です。

花粉症の治療には、医療機関で行う薬物療法、手術治療、減感作療法があります。しかし、治療を行うことと平行して、自らが花粉の暴露から身を守ることが前提となることはいうまでもありません。