おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

  平成17年4月16日放送

更年期とは
       

         宮崎県産婦人科医会  濱田 政雄

更年期は閉経の前後数年間をさし、性成熟期から閉経期への移行期のことで、閉経の前後十年間で40才から60才くらいと考えてよいでしょう。この更年期にさしかかると卵巣機能が衰えはじめ、女性ホルモンが低下してきます。このホルモン欠乏に対する適応のひずみの時期が更年期といえます。またこの時期は、女性の母親としての役割がおわり、子供が巣立ち、夫は仕事に追われ、一人家庭に取り残される時期と一致します。そのような社会的環境や個々人の心理的因子が相まって現れる身体症状や精神症状がひどく、治療の必要な状態が更年期障害です。

色々な不定愁訴はあっても、普通に生活できていれば更年期失調で積極的な治療の必要性はありません。更年期の愁訴にはホルモン失調から来る性器出血や血管運動神経症状、自律神経症状として顔の火照り・のぼせ・動悸・めまい・異常発汗などがあり、精神神経症状としては憂鬱・いらいら・不眠・頭重感・対人恐怖などが起こります。肉体的には、性交時疼痛・尿失禁などの泌尿生殖器の萎縮症状も無視できない症状です。更年期は身体の老化に伴う疾患も多く発症する時期ですので、専門医から器質的疾患を否定されることも肝要です。女件ホルモンの欠乏によりコレステロール値が上昇して脳梗塞・心筋梗塞をひき起こし、カルシウムが脱出して骨粗鬆症が生じ、はてはアルツハイマー型痴呆を起こしやすくなるとも言われています。

最後に、更年期は、あくまでも老年期への過渡期であり、本来最も充実した40才から50才台を更年期に振り回されるのは残念なことです。“もう女でなくなった”“私が更年期のときは他の人と同じように休まず働いた”など、同性異性の気配りのなさが症状を悪化させます。更年期障害は基本的に女性ホルモンの欠乏が原因ですので、ホルモン補充療法はその原因療法になります。ホルモンと聞くだけで後込みする人も多く見受けます。自分の身体をもう少し理解して健やかな更年期を過ごして下さい。