おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

  平成17年6月11日放送

一般的な胃癌検診について
       

         宮崎県内科医会 小野 真一

 

わが国において、人がお亡くなりになる原因(死亡原因)で最も多いのが、癌などの悪性新生物です。その中で、最も罹患率の高いのが胃癌です。

胃癌は、進行すると他の臓器に転移したりして末期癌という状態になり、治療するのが非常に難しくなってしまいます。しかし、そうなる前であれば、手術で完治する可能性が高く、また非常に早い段階であれば、内視鏡切除のみで治療可能です。ですから胃癌は、どの段階で発見されるかによって予後が全然違うことになり、早い段階で見つかれば見つかるほど、侵襲の少ない方法で確実に治療が出来る可能性が高くなると言えます。

胃癌は、進行するまで特有の症状が無いことが多く、確実な予防法も無いのが現状ですので、少しでも早い段階で癌を発見し治療を受けるためには、症状が何も無くても、定期的に検診を受けておく必要があるのです。

検診の方法としては、早い段階の胃癌を発見できる可能性があり、かつ一般的に比較的多くの医療機関で受診できる検診方法とすると、現在のところ、胃X線造影検査か上部消化管内視鏡検査しかありません。

X線造影検査では、非常に早い段階の癌は、形態変化に乏しいものも多く発見困難といえます。内視鏡検査では、粘膜を超えていない非常に早い段階の胃癌を発見できる可能性はありますが、中にはほとんど変化が無くて発見できなかったり、他の疾患と鑑別困難で癌と診断できないこともあります。ただし、非常に早い段階で発見できなくても、胃癌は、年単位でゆっくり進行するものがほとんどですので、年一回程度の定期的な検診を受けていれば、治療可能な段階で発見できる可能性が高いと言えます。

癌の進行が非常に早い場合など、定期的は検診を受けていても発見できない場合があるのは、まれですが事実で、検診の限界といえます。定期的な検診を受けていれば100%大丈夫と断言できないのが現実ですが、それでも定期的な検診を受けることは、現在において、胃癌から自分を守る最も有効な方法と言えます。

少しでも確実に癌を発見するには、専門の施設で精密な内視鏡検査を受けたり、検診の間隔を短くすることも有効な方法と言えます。胃癌には危険因子と言われるものがあり、それが多い人ほどそういった対応が大事と思われますので、詳しくは専門の医療機関等でお尋ね下さい。