おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

第16回 4月19日放送分
病(やまい)は鼻から
 
宮崎県医師会 理事 高橋政見

 

「病は鼻から」について?

風邪で小児科にかかっていて中耳炎を起こしてくる子供さんや、中耳炎の再発を繰り返してくる子供さんのお母さんにいつも言っている言葉です。

中耳炎の感染経路?

鼻の奥からのどに出たところ、そこはのどの上のほうなので、上咽頭といいますが、その両側に耳管という耳へ通じている通路の入り口があります。中耳炎はその耳管を経由して細菌感染がおこり、発症することがほとんどです。

鼻の働き、役目は?

鼻には空気の埃をとったり、空気を温めたり、空気に湿度を与えたりする役目があり、気管や肺によりきれいな空気を送るために、24時間働いています。

鼻の中はどのような構造になっているのか?

鼻の粘膜(内側の表面)は、大部分が多列線毛円柱上皮という細胞で被われていて、多数の杯細胞、腺組織から分泌される鼻液がその粘膜上皮層を覆い粘液層を形成しています。吸い込まれた空気中の細かな塵は粘膜層に付着し、上皮細胞の線毛運動で鼻液とともに、鼻の後ろのほうの後鼻孔に送られて嚥下されます。正常の鼻汁では、通常は意識されることなく嚥下されますが、鼻や副鼻腔に病変が生じると、多量の病的な鼻汁(膿性)が作られますから、これを自覚することになります。これを鼻漏と呼び、後鼻孔に流れるものを後鼻漏といいます。

まとめ

鼻が悪くなるということは鼻の中が汚くなり、鼻のバリアーとしての機能が低下するということです。鼻漏、後鼻漏で汚くなった鼻腔を通ってきた空気がのどから、気管、気管支を通って、肺に入っていくのですから、中耳炎だけでなく、気管支炎や肺炎も起こしやすくなります。まさしく「病は鼻から」といえると思います。とくに中耳炎をよく起こす子供さんは、青っ洟が続くときには、早めの鼻の治療が必要だと思います。