おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

第2回 1月11日放送分
C型肝炎の診断と治療
 
宮崎県医師会 副会長 志多武彦

 

 日本における年間疾病死亡者は約100万人であり、死因の一位は悪性腫瘍で、その順位は肺癌,胃癌,肝癌の順です。肝癌による死者は3万人でその大部分はC型肝炎を基盤にしています。一方、日本には慢性肝炎200万人,肝硬変30万人の患者が存在し、70%はC型肝炎由来です。

 国や県も国民病として認識を新たにして対策強化にのり出しました。住民検診でも40歳から70歳に節目検診としてHCV抗体検査をとりいれ、その陽性者には対応マニュアルを作成し、診断・治療体制を作りあげています。宮崎県版マニュアルを参考、利用して頂きたいと思います。

 C型肝炎ウイルスの特徴はひとたび感染すると80%は持続感染し、20年で肝硬変、30年で肝癌に進行することです。

 感染経路は血液を介するもので、大部分は輸血ですが、入れ墨、ボディーピアス、人工透析でもおこり得ます。

 感染対策は、感染力が弱いため特別の必要はありませんが、血液付着の可能性のあるカミソリや歯ブラシ等は別にすべきです。授乳、性交渉も特に問題となりません。

 治療は根治療法としてインターフェロンが使用されますが、著効30%、有効40%程度です。ウイルス量が少なく、遺伝子型U型、線維化軽度のものが有効性が高くなっています。最近内服薬リバビリンも登場し、期待されましたが、実際には副作用や有効性に問題が出ています。

 インターフェロン以外の対症療法もありますが、いずれにしても一度は専門医との相談が必要です。