おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

第30回 平成15年7月26日放送送
緑内障について
 
宮崎県眼科医会 中馬秀樹 

 

 緑内障は視野が欠損してくる病気で、放置しておくと失明にいたる可能性のある病気です。 日本やアメリカを含む先進国で常に失明原因の上位にくる疾患です。

 緑内障では、失われた視野はもう取り戻せません。 この点で白内障とは異なります。 白内障は手術すれば視力が回復する可能性が高いです。緑内障の治療の目的は今以上に視野を悪化させないことです。

 緑内障では、初期から中期にかけては自覚症状がなく、視野の欠損を自覚した時点では緑内障はかなり進行した状態です。

 以上のことから、緑内障は早期発見がとても大切です。緑内障の管理で重要なものは視野欠損のほか、視神経乳頭、眼圧です。

 視神経乳頭のDiscとcupの比(略してC/ D比)が大きいものは緑内障です。

 眼圧が正常値よりも高くなると視神経乳頭が障害されて緑内障になるわけではありません。要は眼圧と、個人の視神経乳頭の強さとの関係によります。眼圧の正常値は10-20mmHgという基準があり、高眼圧緑内障も多いのですが、眼圧が正常範囲内の緑内障(正常眼圧緑内障)が日本人には断然多いのです。40歳以上の約3.6%が正常眼圧緑内障といわれており、緑内障患者の90%をしめます。眼圧は正常範囲ですから痛くもかゆくもない、しかも初期の視野欠損は自覚しにくいとなれば、発見されるのが遅くなるわけです。手がかりは視神経乳頭しかありません。しかも眼科医が特殊な方法を用いなければわかりません。40歳をすぎれば眼科を受診して検査を受けるか、ほとんどの成人病検診には視神経乳頭の検査も入っているので、それを受けるのも良い方法かもしれません。

 緑内障はきちんと眼科で治療、管理されていればそれほど怖い病気ではありません。自覚症状もないまま進行していくため、放置しておくことが怖いのです。眼圧が安定しているからといって定期的な眼科受診を怠ると知らず知らずに視野が進行していた患者さんもおられます。早期発見と、粘り強い定期的な眼科受診が大切です。