おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

第4回 1月25日放送分
診療情報の提供に関わる指針
 
宮崎県医師会 常任理事 西村篤乃

 

 平成12年1月、日本医師会は、インフォームドコンセントの理論の具体的な実践を提言し「診療情報の提供に関する指針」を全国の医師に配布しました。これは2年後に見直しすることが条項に入っており、本年3月に一部改正が行われました。

 主な改正点は(1)診療情報提供は、要約書がなくなり、口頭による説明、説明文書又は診療記録の開示等の閲覧、謄写の求めに応ずるようになりました。

(2)平成12年4月から実施に移された成年後見制度を受けて、診療記録等の開示を求めることができる者は、原則として判断能力のある患者本人であるか、診療契約に関する代理権が付与されている任意後見人を追加したことです。

(3)診療記録等の開示などを拒みうる場合には、申立人に対して苦情処理機関があることを 教示する必要があります(設置義務が条項にうたわれています)。

 (3)遺族に対する診療情報の提供は、今回新しく追加された条項です。従来、共同して患者と医師が相互に信頼関係を持ちながら、共同して疾病を克服することを目的としていたため、遺族への診療情報提供は除外されていました。医師は患者が死亡した際には、遅滞なく、遺族に対して死亡に至るまでの診療経過、死亡原因などについて説明する慣行があり、これは医師として当然の義務であります。

・診療記録等の開示を求めることができる者は、患者の法定相続人となっています。

 日本医師会で2年間に亘り、今回の相談窓口から集計した内容は、診療内容56%、診療情報提供9%、その他34%となっています。

 宮崎県医師会には、医療相談窓口(フリーFAX 0120−775−770、 電話 0985−22−5118)があり、平成10年から全国に先がけて設置されております。また苦情処理委員会で処理できないときは、診療情報提供推進委員会(弁護士、家庭裁判所委員等、第3者の入った会)に事例を付託して検討してもらいます。この機関が法律家、その他の医師以外の学識経験者の講成となっていることが、公平性を担保しているわけです。