おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

第43回 平成15年10月25日放送 
性感染症
 
宮崎県泌尿器科医会 日高正昭

 

 性の自由化、初交の低年齢化、新しい性の風俗営業の出現などで性行為の形態、内容が変化し、従来の性交では感染し得ない様な病気でも、現在の様に多様化した性的接触では感染することがわかってきました。そのような病気も含めて性病は性感染症とよばれることになりました(性感染症 sexually transmitted disease STDと略称する)。

 STDは性器と性器の接触、性器と口唇、口唇と肛門、性器と肛門の接触などで感染します。

 感染症サーベイランスで集計されているSTDは4疾患で、症例の多い順に1.性器クラミジア、2.淋疾、3.性器ヘルペス、4.尖圭コンジロームです。

 性器ヘルペスはウイルスの感染で、初感染ではソケイ部のリンパ腺が腫れたり、局所に水疱が出来て痛みがあることが多く、尖圭コンジロームもウイルス感染で局所の進入部位に柔らかいイボが出来ます。どちらも男女ともに何らかの自覚症状があります。

 淋疾−男性は淋菌性尿道炎として強い排尿痛と排膿があり感染を自覚しますが、女性では初めは帯下(おりもの)が増えるくらいであまり病識が無いことも多い様です。

 性器クラミジア症−男性では尿道炎として尿道の不快感、痒感、軽度の排尿痛、排膿があり感染を自覚しますが、女性では自覚症状が無い事の方が多く、そのために受診する事が遅れることになりますが、最近では帯下の混入した尿の中の淋菌、クラミジアのDNAを検査する事で苦痛なしに簡単に感染が判明します。

 1、2の予防にはコンドームを毎回使用することに尽きます。セックスパートナーの数が多いほど感染率が高くなっています。膣炎・子宮頸管炎・尿道炎に罹っていることは、HIV(エイズウイルス)が侵入しやすい状態になっていることなので早く治療して、くれぐれも大事に至らぬよう注意する事が肝心です。