おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

第47回 平成15年11月22日放送 
子供の眼の話
 
宮崎県眼科医会  中馬秀樹

 

 子供は生まれた時には視力は不良です。0.1以下です。その状態から視力を発達させていくんです。脳がやわらかいために、ものを見ることによってゆっくりゆっくり視力を発達させていきます。だいたい3 歳くらいで1.0に達します。このように視力が正常に発達するためには条件があります。一つはピントがぼけていない、つまり、遠視とか、乱視とかがないことです。二つめはクリアな像である、つまり、眼に白内障などがないことです。三つめは眼の中心部に像がむすぶ、つまり、斜視がないことです。

 視力の発達は、8歳くらいで完成してしまいます。その時点で正常に視力が発達していないと、その後にいくら治療をしても視力回復が得られません。これを弱視と呼んでいます。斜視の場合には両親が気づいて受診されることがありますが、遠視などは気づくことは不可能です。子供から眼が見えないと訴えることもまずありません。1,2歳までは視力検査は不可能ですが、3 歳になると視力検査は十分可能です。また、視力の発達が完成するまでまだ 5年残されているため、視力の発達障害が見つかっても十分に治療可能です。以上の理由で3歳時検診を受けて、視力の発達具合を検査することは非常に重要です。

 弱視の治療は、まず、白内障などがあれば、これを治療します。つぎに、そのような異常がない場合、ピントがぼけてしまう遠視や、乱視がある場合は、眼鏡をかけてもらいます。その上で、視力の発達の悪い方の眼の発達を追いつかせるために、視力のよい方の眼を遮蔽して、悪い方の眼ばかりを使ってもらいます。これを遮蔽療法と呼んでいます。一種のリハビリなんですね。まだ脳がやわらかい8歳までのお子さんはこれでよく視力の発達の遅れが取り戻せます。

 ぜひ3歳時検診は受けて下さい。