おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

第48回 平成15年11月29日放送
質問コーナー(ヘルペス)
 
宮崎県皮膚科医会  田崎高伸
 

 

質  問

 夫は、くちびるに水疱のようなものができ、それが破れて大変そうでした。「ヘルペス」といわれたそうですが、その後に左のくちびるに同じように出来、「帯状疱疹」に似たようなものとか言われたそうです。これについておしえてください。

回 答

 ご主人の病気は「口唇ヘルペス」と言って単純ヘルペスウイルスによるものです。帯状疱疹とは全く違うもので、心配はありません。今ではよく効く薬もありますし、おこったときには早目に専門医に診てもらってください。

 少し詳しく言いますと「口唇ヘルペス」は、20歳頃までにほとんどの人がかかっています。そしてこのウイルスは神経節(ご主人の場合には顔面神経節)に一生いて人間と共存しているのです。いつもはじっとしているのですが、疲労したとき、風邪をひいたとき、発熱したとき、ストレスにあったとき、強い日光にあたったときなどに皮膚の抵抗力が落ちて、ウイルスが元気を出し、神経に沿って口唇や口のまわりに出て来て増えるのです。これはしばしば繰り返して起こりますので「再発性単純疱疹」と言われることもあります。あまり神経質にならないで、またちょっと風邪をひいたかというように考えられた方が良いでしょう。体調が良ければ、数年間出来ないこともあります。

 ところで「帯状疱疹」は、水痘・帯状疱疹ウイルスによっておこる病気です。電子顕微鏡で見るとウイルスの型はそっくりで、症状も似ている場合がありますから医師でも診断を間違うこともあります。宮崎県では「たん」とは「はしりだん」とか言われているもので、みずぼうそうにかかった人にウイルスが残っていて体調の悪くなったときに発生します。痛みをともない体の片側に帯状に出てくる水ぶくれが特徴です。傷のなおったあとに神経痛が残ることがありますので、これも早くから適切な治療を行う必要があります。

 ご主人の「口唇ヘルペス」は何度も再発しているのでご心配でしょうが、体調を整えて、発生回数の減るのを待ってください。