おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

第60回  平成16年2月21日放送

子宮がん検診

宮崎県産婦人科医会 嶋本富博

 

 

子宮頸癌は罹病率では全女性の癌の3位〜4位に位置し、人口10万人につき25人前後の発症を日本においても認めます。一方死亡率は人口10万につき5人前後であり、おおよそ子宮頸癌に罹患しても5人中4人は助かっています。このように治療成績が良好な背景には子宮頸癌検診の存在が大きな役割を果たしています。子宮頸癌検診を定期的に受診した場合未受診者と比較して子宮頸癌による死亡は90%以上減少するとのデータもでております。子宮頸癌検診を受けることは癌による死亡を防ぐだけではなく、早期発見により治療の選択肢が拡がり、若年者においては子宮を温存する可能性も高くなります。

宮崎県は全国的にみると受診率は低く、その死亡率も全国でワースト10に必ず入っているという状況です。たとえば2001年の統計では最も死亡率の低い富山県が10万につき子宮癌死亡率が5.6人と比較すると、その約2倍にあたる10.1人となっています。

更に近年子宮癌検診は受診率が低下傾向にあり、その中でも新規受診者が低下傾向で全受診者の10%未満を占めるにすぎません。また50歳未満の受診意欲は低く、受診者の25%前後です。しかし子宮頸癌は若年者にも多く当院の全子宮頸癌患者の平均年齢は49歳(最年少は20歳)で約半数は50歳未満です。不正性器出血等の症状が出てからでは子宮温存も困難であり自分の生命・子宮を守るためにも若年者の子宮頸癌のより一層の受診が望まれます。

子宮頸癌は生殖年齢に達したらいつでも発症する可能性があり身近な問題と捉え、定期的に子宮頸癌検診を受診していただきたいと思います。