おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

 平成16年4月24日放送
テレビ・ビデオの乳幼児の言語発達への影響(日本小児科学会の提言について)
 
宮崎県外科医会 元村 祐三

 先日、日本小児科学会は以下のような提言を行いました。

  1.  2歳以下の子供には、テレビ・ビデオを長時間見せないようにしましょう。

     内容や見方によらず、長時間視聴は言語発達が遅れる危険性が高まります。

  2.  テレビはつけっぱなしにせず、見たら消しましょう。

  3.  乳幼児にテレビ・ビデオを1人で見せないようにしましょう。

     見せるときは親も一緒に歌ったり、子供の問いかけに応えることが大切です。

  4.  授乳中や食事中はテレビをつけないようにしましょう。

  5.  乳幼児にもテレビの適切な使い方を身につけさせましょう。

           見おわったら消すこと、ビデオは続けて反復視聴しないこと。

  6.  子供部屋にはテレビ・ビデオを置かないようにしましょう。

 この提言のきっかけになったのは、言葉の遅れ、表情が乏しい、親と視線を合わせない、などの症状で受診する幼児の中に、普段からテレビやビデオを長時間見ており、それをやめることで症状が改善したというような子供達の増加でした。

 これにより、日本小児科学会が、調査、解析したところ、テレビを長く見ている子のほうが、また見ていなくても、子供の近くでテレビのついている時間の長い家庭の子のほうが、そして、テレビをみる時に、親が一緒に歌ったり、内容について話したりするようなかかわりが少ない家庭の子のほうが、有意語(意味のある言葉)の出現が遅れている子の割合が多くみられました。

これらの現象は、会話の頻度が減っている、ということが大きく関わっているのであろうと考えられています。

 つまり、テレビを見ることそのものが良くないというのではなく、それにより、乳幼児との会話や、向き合う機会が減ってしまうのが問題なのです。

 また、今回の解析で、生後早い時期からテレビを見せはじめた子供の方が、テレビやビデオに執着したり、自分でつけて見る確率が高く、のちのち長時間見るようになっており、見せ始めの時から、決まりをきめて見る習慣を身につけさせ、番組が終わったら消したり、ビデオを巻き戻して反復再生を続けたりしないようにすることが大切であります。

 以上のことより、乳幼児期のテレビ視聴の影響について、親も社会も認識して対処していく必要があると考えられ、今回の提言となりました。