おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

第70回  平成16年5月1日放送

健診結果の上手な利用の仕方

宮崎県内科医会 尾上耕治

 

まず、健診の目的は、病気の早期発見早期治療にとどまらず病気の予防、特に生活習慣病の予防にあります。今の体の状態をよく理解し、生活習慣を改善し、健康管理に役立てて下さい。

 

次に、健診結果の報告書を見る際には、まず総合所見とか総合判定という欄をご覧下さい。現在の健康状態に異常があれば、何らかの指摘や指導が示されています。その指導区分は、医療機関によって若干異なりますが、だいたい4段階に分類されています。

:異常無し

:わずかに基準範囲内をはずれているが日常生活に支障はありません。

:経過観察や再検査が必要です。

ここまでの段階は、現在治療や精密検査の必要はありませんが、生活習慣の改善、例えば、食生活の改善や適度な運動などを行い、病気になるのを予防するというものがほとんどです。

最後に

:治療や精密検査が必要 と考えられる段階です。このときは自分勝手に判断せずに、速やかにかつあわてずに医療機関を受診して下さい。精密検査が必要と言われると、癌と思い込んでしまう方がいらっしゃいますが必ずしもそうではありません。むしろ、精密検査の結果、癌ではなくほとんど問題のないということの方が多いものです。しかしなかには、癌や他の病気で治療が必要な人もいますので、速やかに受診して下さい。また、治療が必要と考えられる段階でも、必ずしも治療が必要というわけでもありません。どういう状況かを確認していただくことが大切です。今まで申し上げましたように、段階的に指導区分というものがありますので、それをよく理解するということが先決です。

 あとは、異常を指摘されなくても、項目別に全体を見ていって下さい。ここで大事なことは年に一回健診を受けて結果を前回と比較するということです。基準値というものがありますが、これはひとつの目安です。個人差もありますので、年々基準値に対してどうなっているのかを見ることも大切です。

 

最後に、結果についてどうしたらよいかわからない場合は、かかりつけの先生や保健婦さんに、相談する相手がいない場合は健診を受けた医療機関にお問い合わせください。