おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

第70回  平成16年5月15日放送

鍼治療の現況

宮崎県東洋医会 山元 敏勝

 

 ロシアを始め、東欧に於いては、鍼治療の制度が確立され一般医療と同じように普及しており西欧に於いては、オーストリア、ドイツ、フランス、イタリアなどか、すでに鍼治療を取り入れ、又、元米国大統領、ニクソン氏が中国を訪れて、多大な興味を待った事が、全世界に大々的に報じられた事は、未だによく覚えておられる方も沢山おられると思います。

 それをきっかけとして、欧米に於いて代替医療が一段と注目を集め、多くの医師たちが中国に於いて鍼、並びに東洋医学の勉強に力を入れ始めたのであります。なぜか日本は、以前、即、現代医学の取り入れられる約130年前頃までは、中国と同じ様に、鍼又は漢方を主とした医学が行われていたものと思われます。

 そのせいか、日本独自の性格なのか、その様な旧態依然とした医学には余り反応しなかったのではないでしょうか。

 私もかれこれ、20年あまり欧米に於いて鍼治療を教え、又、その普及に努めておりますが、彼らにとっては、日本はアジアの一国であるがゆえに、多くの病院で鍼治療が行われているものと思っている人たちが多く、いくら説明しても今の日本の現状を理解する事が出来ない様です。

 今日では、欧米の数カ国において誠治療は一つの専門医療制度が出来上がっており、またブラジルに於いては、医学部卒業後、2〜3年間は大学院で鍼治療を勉強させ専門医を目指しております。ちなみにドイツでは、医師の資格をもった者がA級の資格取得の道として、学会の主催する請習会に300時間出席し資格試験取得後に認定医を交付、また、B級においては、更に200時間の学習を要求しております。

 今より22年前、我々は、国際医師鍼治療学会を設立し、2年に1回学会を実施、1年に1回シンポジウムを持ち回りで開催しています。

 アジアでは、宮崎において、2回の学会を開催しており、現在では、45カ国が加入しております。最近では日本でも徐々に、代替総合医療が盛んに騒がれ、少しずつではありますが、興味をもつ人々が増加しております。

 その要因として、終戦後米国医療が進出し、薬の副作用などに人々が目覚めて来たためかと思われます。それに加え、患者の権利が大きくなり、時代の流れに流されて行くような気が致します。