おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

 平成16年6月19日放送
変形性膝関節症について
 
          宮崎県整形外科医会 岡本 義久

高齢化で増えている変形性膝関節症について、お話ししましょう。

 中高年の太った女性に多い、治療がはぼ確立した、病気です。体重の掛かる関節は無理をすると軟骨が磨り減って薄くなり、痛みがでてきます。階段の上り下りを多くしたり、正座を長くするのも痛める原因になります。O脚の人もなりやすいので注意が必要です

注意する事は

 肥満の人は体重を減らす事が重要です。

 重いものを持ち歩くのも膝に負担が掛かります。

 長時間の歩行、正座、しゃがむ姿勢は避けましょう。

まず

 関節軟骨は、体重を掛けずに、たくさん膝の曲げ伸ばしをすると、関節液によって栄養を受け、軟骨が修復されます。ですから、じっとしているのは、かえってよくないのです。

 兎の実験で、両方の膝の軟骨に穴を開け、片方は固定、もう一方は、24時間曲げ伸しをして、3週間後に、観察すると、固定した方の膝の軟骨は、穴の周りも含めて破壊されていました。ところが、24時間曲げ伸しをした方の関節軟骨は完全に修復されていました。人間の場合も、これに近い事が起こると解ってきました。

 関節は、動く為に有りますから、動かさないのはよくない事です。

 しかし、スクワットの様な、無理な運動は痛める事になります、階段や立上がりの動作には、手摺を使うのがよいでしょう。太ももの前と外側の筋肉を強くして関節を安定させるのも大切です。

 水がたまると、水を抜いて、関節軟骨を保護する注射をする事が大変有効であることが分かってきました。よく、水を抜くと癖になるのでは?と聞かれますが水はぬいても癖にはなりません。よく手入れをすると水は溜まらなくなります。

 O脚の強い人で内側の軟骨がすり減った人には、O脚を直す手術があります。

 よくO脚を直す体操などが宣伝されていますが、成人のO脚を直す治療は手術以外にはありません。

 幼児期のO脚は、多くは自然に治りますが、程度が強い場合は装具で治す事が有ります。

 関節破壊が進んでしまった人には人工関節が痛みがとれて普通に歩けるようになる、良い方法です。

 膝に痛みを感じたら、早めに整形外科で指導を受けて、予防と早期治療で健康な毎日を送って下さい。