おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

第8回 2月22日放送分
医療改革について
 
宮崎県医師会 常任理事 濱砂重仁

 

 医療制度改革が何故必要かというと「少子高齢化」という年齢構成の変化(医療費増加は高齢者、特に75歳以上の医療費増加が主因)と、国の財政難により、このままだと、財政が破綻するという理由によります。

 改革の選択肢は大きく3つに分けられます。

1.経済至上主義、市場原理を導入し、究極的には国民がいつでもどこでも平等に医療が受けられる国民皆保険や皆年金制度の解体を目指すアメリカ型改革(経済財政諮問会議、総合規制改革会議)

2.国民皆保険、皆年金制度を維持しつつ、患者負担を増やし、その分、国が搬出する費用を減少させ、さらに医療機関の収入を抑制し、負担構図を再編する(厚生労働省)

3.日本の医療費は、国際的に対GDP比でみると、決して高いとはいえず、国の負担を増加し、公的医療費、社会保険費の総枠を拡大する

 1997年、WHOが各国の保険医療システムの評価をした結果、日本は健康寿命(寝たきりではなく、健康に生きた年齢)は世界第1位(米国は24位)、国民一人当たりの医療費は13位(米国は1位)で、低費用で世界一の長寿国を達成した医療制度を何故、アメリカ型に改革しなければならないのか、理解に苦しむところです。

 患者負担の増えたことが、医療機関の受付で支払う為、医療機関の収入増と思い込む県民も多いのですが、決して医療機関の収入が増えたのではなく、国の負担が減っただけです。一般病院では、長く入院できないような仕組みを国が制定した為、すぐ退院させられたという苦情をよく耳にしますが、医療機関が悪いわけではありません。

 このような環境の中、医療機関は、自浄作用により、より良い医療を効率よく提供できるように日々努力しています。

 最後に、医療制度改革の流れが、国民不在の中で決められていることに関し、それは県民一人ひとりに振りかかってくる問題ですので、是非関心をもっていただきたいと思います。