おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

  平成16年8月21日放送

いまさら肺結核?

宮崎県外科医会 田中 俊正

「結核」というと、昔は「国民病」だと言われ、恐れられていた事をご承知の方でも、今では「過去の病気だ」と思われている方が多いと思います。けどそうではないのです。
結核は毎年約3万5千人の新しい患者さんが登録され、約2500人の方が亡くなられています。特に高齢者の死亡が多くH12年の2650人中72%が70歳以上の人で占められています。今でも我が国最大の伝染病には間違いありません。患者さんの減少傾向は頭打ちで、H14年の羅患者は25.8(人口10万人に対する結核の人)で、先進国のスウェーデン(4.5)、アメリカ(4.6)と比べると後進国と言えるかも知れません。宮崎は(28.7)です。 
最近の傾向として学校、高齢者施設、医療機関での集団発生が見られ、問題になっています。最大の問題は私達医療関係者を含め、結核に対する関心の低下にあると考えられます。ここで結核について少し話したいと思います。結核菌(1〜4umの桿菌)によって主に肺に炎症を起こす病気で空気感染で人にうつります。ろう様の丈夫な膜に包まれ、酸・アルカリ・乾燥には強いのですが、紫外線に弱いので日光消毒が有効です。発育が遅く1回の分裂に10〜15時間(大腸菌1720分)かかり、長い間冬眠し、暴れるチャンスを待っています。体力の無く
なったご老人が発病します。結核菌の侵入に対して、人体の免疫システムが働くようになった状態を感染(ツベルクリン反応でわかる)と言いますが、全体の約1〜3割しか発病しません。発病の危険が高いのはAIDS・糖尿病・じん肺・けい肺・抗癌剤や副腎皮質ホルモン剤使用中・人工透析・不規則な生活・多量の飲・急激なDet・疲労・ストレスの強い人等が挙げられます。初期症状は゛風邪の様で風邪じゃない゛と言ったら分り易いと思いますが、長引く咳(2週間以上)・長引く微熱・長引く倦怠感(だるい、元気が無い)があります。こうゆう時すぐ近くの病院への受診をお勧めします。診断は痰の中から結核菌を証明する事により確定します。胸部レントゲン・CT等も必要です。
治療は結核予防法で標準治療法が決まっております(H167月1日より一部強化された)が、1日1回の服薬が原則です。予防:BCGの早期接種は重症の結核(髄膜炎・粟粒結核)から赤ちゃんを救います。゛生後3ヶ月〜6ヶ月までの間゛の接種を勧めます。勿論、お父さん、お母さん、皆さん各地区の結核検診は洩れなく受診しましょう。(早期肺癌の発見にも役立ちます)