おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

  平成16年9月4日放送

子供の尿漏れ 特におねしょについて

宮崎県泌尿器科医会 井上 勝己

「子供の尿もれ、おねしょ」
おねしょは泌尿器科を受診する最も頻度の高い子供の排尿異常で、誰もが子供の頃に一度や二度はおねしょをして恥ずかしい思いをした経験があります。ただ、いつのまにか自然に治ってしまいます。この何もしないで自然に治ってしまうことが返って、おねしょが続いている子供の小さな心を傷つけ、家族をも不安にさせてしまい精神的にもやっかいな問題になります。
 おねしょの多くは排尿の発達の障害が主な原因です。その中には3つの障害があります。一つ目は膀胱が小さいことです。膀胱の尿を貯める働き不十分だと、膀胱は少ししか尿が貯められず、睡眠中の尿量に応じきれないで尿が出てしまいます。二つ目は夜間の尿量が多いことです。睡眠中は尿量が膀胱一杯分になるように尿量をコントールするホルモンが成長するにつれて分泌されますが、このホルモンの分泌が不十分だと夜間の尿量が多くなり、仮に膀胱が正常な大きさでも、膀胱より尿があふれ出てしまいます。そして、三つ目は尿が出ても、目が開かない覚醒障害です。睡眠中尿意を感じれば、大人の場合は目が覚めてトイレに行きますが、おねしょの子は睡眠中に尿意を感じても起きることができず排尿してしまいます。このように、いくつのも原因が複雑に絡み合っていますので、原因に沿った治療がおねしょには必要です。
 また、おねしょを扱う時に、病気によって引き起こされているおねしょを見逃さないことが大事です。そのポイントの一つは昼間の症状です。昼間の症状がない場合には、ほとんどの子供さんは成長とともに自然におねしょが治っていきます。特に朝方に漏らしているようであれば、おねしょはもうじきに治るでしょう。一方、昼間の尿失禁や膀胱炎などの既往がある場合には、おねしょが膀胱や尿道の働きの異常や先天的な奇形によって引き起こされている事もあるので、早めの検査が必要で泌尿器科専門医まで受診をお勧めます。