おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

  平成16年10月30日放送

蕁麻疹について

宮崎県皮膚科医会 蜂須賀 裕志

 蕁麻疹ではからだのあちこちに突然激しい“みみずばれ”を生じ、すぐにさまざまな形と大きさで広がります。この症状は数時間以内に跡形なく消えてしまいます。蕁麻疹は、日常よく見られる皮膚病の一つです。蕁麻疹は数週間消退する急性蕁麻疹と、1ヶ月以上続く慢性蕁麻疹に分けられます。普通の蕁麻疹以外に、皮膚をかいたり、圧迫して生じる機械性蕁麻疹、冷たい物に触れると生じる寒冷蕁麻疹、汗をかく状態になると生じるコリン性蕁麻疹などがあります。蕁麻疹は皮膚の血管周囲にある肥満細胞からヒスタミンがしみでてきておこります。ヒスタミンが皮膚の血管に働くと皮膚が腫れ、知覚神経に働くと痒みを引き起こします。ヒスタミンが肥満細胞から染み出てくる仕組みは、アレルギー性と非アレルギーとがあります。

蕁麻疹の原因は食べ物、薬、細菌、ウイルスなどの感染、虫刺され、物理的な刺激、ストレスなどがあげられますが、時にはほかの病気に付随して起こることもあります。急性蕁麻疹では原因が見つかることもありますが、慢性蕁麻疹ではその多くは発生原因が判明しません。蕁麻疹の原因を探る手立てとして、一日の行動、食事の内容と同時に蕁麻疹の発生を詳しく記録することが役立ちます。治療で重要なことは、原因の除去ですが、一般には抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤を使った対症療法が行われます。これらの薬剤には多くの種類があり、薬の効き方、眠気などの副作用に違いがあります。少なくとも内服を1、2週間続けた上で、効果があるか無いかの判断を下す必要があります。また増悪因子とされる飲酒、熱冷ましの薬、痛み止めの薬、温熱、ストレスなどを避けてください。痒み止めの薬は主治医の指示通りに服用してください。蕁麻疹、特に慢性蕁麻疹は治りにくい病気ですが、決して治らない病気ではありません。痒みが続いても、蕁麻疹の痒みが一生続くことはありません。皮膚科専門医を受診して、適切な治療を根気強く続けると、多くの場合蕁麻疹の症状はきっと軽快するはずです。