おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

  平成16年11月13日放送

風邪と中耳炎

宮崎県耳鼻咽喉科医会 堀之内 謙一

[かぜについて]
 皆さんご経験あるように、鼻みず、鼻づまり、のどの痛み、咳など鼻、のどの症状が中心で、さらに発熱、全身倦怠感、頭痛、食欲低下、嘔吐、下痢、関節の痛みなどが起こることがあります。通常は2日から7日で自然に治ります。原因のほとんどはウィルス感染で、一部細菌やその他の微生物の感染(以下ばい菌と記す)が原因となります。

時には口を開けただけでは見えないのどの深い部位が2次的な細菌感染から強い炎症を起こして腫れ、呼吸や飲み込みの障害に至ることがあり注意が必要です。かぜだと思って受診しても、副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)やアレルギー性鼻炎のことも少なくありません。鼻やのどの状態をくまなく見て確認できる耳鼻咽喉科の受診が必要です。痰が絡んだ咳が多い場合(気管支炎や肺炎のことがある)、また咳が激しく息苦しい場合(気管支喘息のことがある)、熱が高くてぐったりしている場合(脱水や髄膜炎のことがある)や下痢や吐き気がある場合などには、内科や小児科の受診が必要になります。

[中耳炎について]
 鼻の一番奥(のどのてっぺん)には、中耳(鼓膜の奥の部屋)への空気の通り道(耳管)が開いています。子供は大人に比べて、耳管が短く傾きが水平に近いため、鼻やのどから中耳へばい菌が行きやすく、かぜをひくと急性中耳炎にかかりやすいのです。

休日や夜中に子供がかぜ症状と共に耳を痛がる場合、市販の痛み止めなどを必要最低限使ってください。耳鼻咽喉科の受診はその翌日でも治療上問題のないことがほとんどです。

[かぜの対処法]
 まずは安静と保温、保湿、栄養・水分の補給に努めてください。最も多い鼻やのどの症状でつらい場合には、対症療法となります。かぜの発熱自体はばい菌に対するからだの有益な反応であるとみなされています。それでも高熱のため水分摂取や睡眠に支障をきたすような場合や痛みが強い場合には、解熱鎮痛剤を使います。かぜの予防としては手洗いや嗽の励行、規則正しい生活、栄養バランスの取れた食事、十分な睡眠でかぜを引きにくい体力を保つことが大事です。