健康Q&A

子供の肥満 10年で頻度が3倍増

 

質問 10歳の男の子。近ごろ肥えてきましたので近くの医院で受診しましたところ、肝臓が悪いと言われました。身長145cm、体重62kgです。今後どのようにしたらよいでしょうか。(小林市4児の母親)

回答 10歳の男の子で身長145cmの場合の標準体重は35kg前後ですから、このお子さんは、標準体重を約75%上回る高度肥満児ということができます。高度肥満になりますと肝臓に脂肪が蓄積して肝炎に似た検査結果を示すことがあります。脂肪肝と言われるものです。このお子さんの診断は、脂肪肝と肝機能障害を伴った高度肥満としてよさそうです。

実際の体重が、標準体重を20%以上上回る場合を肥満と呼んでいます。小学生・中学生の10人に一人は肥満児です。この10年問で、その頻度は3倍に増えました。肥満児が増える原因の一つは、食事上の問題です。間食を取り過ぎたり、水の代わりにジユースや牛乳を飲んだり、脂肪が多い食べ物を好んで食べるようになりました。もう一つの原因は、運動不足です。塾通い、家庭用TVゲーム機への熱中などが運動不足を招いているようです。

肥満児の健康上の問題は、現在と将来の問題に分けて考えることが出来ます。現在の問題とは、心臓や肺の動きが低下して運動が苦手となり、学校生活で劣等感を抱く原因になったり、子どもでありながら、大人によくみられる高血圧、糖尿病、高脂血症、脂肪肝を合併しやすいことです。

将来の問題とは、子どもの肥満が大人の肥満へと引き継がれ、将来いろいろの成人病を引き起こしやすいことです。成人病の予防は子どもの時からと言われる理由がここにあります。子どもの肥満の治療の要点は以下のとおりです。

・治療の目標は、標準体重まで減量することではなく、肥満の程度を軽くすることである。

・子どもに欲求不満があれば取り除く

・よく咀嚼して食べる。

・ご飯、めん類、パンの摂取量は八分目にする。

・脂身は避ける。

・野菜類は食べ放題。ただし、ドレッシングに注意する。

・スナック菓子やラーメンは避ける。

・ジュースや牛乳の飲み過ぎに注意する。

・好きな全身運動を毎日続ける。

・子どもにやる気が出てきたら何かにつけて褒めてあげる。

いずれにしても、このお子さんのように高度肥満の場合は、専門医の診察を受けてください。

(県医師会 浜田恵亮)

 

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