健康Q&A                        

たばこの誤食(吐かせて胃洗浄を)

質問 ハイハイを始めた10ヶ月の子供が、コタツの上に乗っていたタバコの吸いがらを口に入れていました。タバコを食ぺると急性ニコチン中毒になると聞いたことがありますが、どうしたらよいでしょうか?

答え タバコの中に入っているニコチンは猛毒で、成人ではタバコ2本分で、幼児ではタバコ半分で致死量になります。しかしこれはタバコの葉の中のニコチンがすべて溶け出した場合で、酸性の胃液の中ではタバコの葉からニコチンが溶け出すには時間がかかるため、すぐには症状が出ません。しかし温かい体内では溶け出すスピードが早くなるため、タバコを飲み込んだことが確実であれば、すぐに処置を行うことが必要です。家庭では、まず指などでのどの奥を刺激して嘔吐(おうと)させるとよいでしょう。このとき牛乳や温水など手近な飲み物をコップ半分くらい飲ませてから嘔吐させると効果的です。吐物の中にタバコの葉が混じっていれば、医療機関を受診して胃洗浄を受けてもらってください。胃洗浄を行って胃内にタバコの葉があれば、胃洗浄のチューブから吸着剤(活性炭)と下剤を投与しておくほうが後の心配をしなくてすみます。

 タバコの葉を食べても、すぐに処置を行えば、ニコチン中毒を来たすことはまずありません。ほとんどの場合が外来治療のみですみます。しかしジュース缶などを灰皿代わりに使い、その浸透液を飲んだりしたときとか、灰皿に残った液などを飲んだ場合には、重篤なニコチン中毒の症状が起きる可能性があるため要注意です。

 ニコチン中毒がおきたときには、吐き気や嘔吐があり、脈が速くなって、顔面蒼白となり、ひどくなればよだれを流したり、意識障害を来してきます。そういった症状が出たときはすぐに医療機関に連れてきてください。入院してニコチンに対する拮抗剤の投与などの専門的治療が必要になります。しかしお母さんが気を付けなければならないのは、まずは予防です。ハイハイをし始めた子供の行動範囲は急激に広くなりす。また一歳前後の子供は好奇心が強く、何でも口にいれて確かめようとします。そんな子供の手の届く範囲に夕バコなどの危険物を置かないことが一番大切です。(県医師会・竹智義臣医師)

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