健康Q&A

たんがひっかかる(慢性気管支炎の疑い)

質問 数年前より起床時に痰が喉にひっかかつた感じがするようになりました。最近は次第に痰の量が増えてきています。タバコは20歳頃より1日に20本程度吸っています。どのような病気なのでしようか。(68歳、男性、宮崎市)

答え 咳や痰の多い病気としてはいろいろな病気がありますが、高齢になっての痰の量が増えてきたこと、朝に痰が多いこと、喫煙歴が数十年と長いことなどより慢性気管支炎の症状かと思われます。

 慢性気管支炎は咳や痰の多い病気で、二冬連続して少なくとも1年に3ケ月ほとんど毎日咳や痰が続き、気管支拡張症や結核などによるものは除外されるものと臨床的に定義されている病気です。

 病因は直接明らかではありませんが、次のような内的、外的因子・年齢(高齢者に多い)・性(男性に多い)・喫煙・大気汚染・職業・気道感染が考えられています。この中でわが国では、年齢が高いほど、喫煙量が多いほど有症率は増加し、50歳以上の喫煙者ではその有症率は35%で、30歳以下の非喫煙者ではl%以下です。

 診断は咳、痰、労作時の呼吸困難などの臨床症状を基に、胸部X線検査、胸部CT検査、気管支鏡検査、肺機能検査、動脈血ガス分析などで、肺気腫や気管支拡張症などの疾患との区別をする事によってなされ、その病気の進行状態を知り治療方針が決められます。

 慢性気管支炎は、呼吸困難などの慢性呼吸不全の状態へと病気が進行する可能性のある病気です。このため治療は、気道系の増悪因子の除去つまり禁煙、汚染した空気や冷気吸入などによる気道粘膜への刺激をさけることがまず大切です。薬物療法としては気道分泌物の除去のため喀痰溶解剤、去痰剤、気管支拡張剤、吸入療法などがあります。又、膿性の痰の増量や発熱症状などの下気道感染症状が見られるときは抗性物質の投与を受ける必要があります。

 慢性気管支炎は次第に進行していく可能性のある病気ですのでまず禁煙をされ、症状の軽い内に病院を受診されることをおすすめします。

〈宮崎県医師会 河野謙治)

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