全身麻酔について

     飯田病院院長 麻酔科 飯田正幸

   このホームページをごらんになっている皆さんは、手術の時麻酔をかけると言うことをご存じでしょうか。麻酔は大きく全身麻酔と局所麻酔に分けられます。全身麻酔は麻酔の間、意識がなく痛みもありません。局所麻酔は腰椎麻酔や硬膜外麻酔の事で、体の半分ぐらいは痛みがありませんが意識はあります。  麻酔について簡単に書きましたが、皆さんの知りたいことは何でしょうか。今回は安全性について説明したいと思います。   最初に全身麻酔と局所麻酔のなかの腰椎麻酔でどちらが安全かの研究で、スウェーデンのカロリンスカ病院での統計結果 では、1967〜1984年までの麻酔症例25万例の検討では、腰椎麻酔は3万4740例中5例死亡。全身麻酔は21万5803例中4例死亡となっており、腰椎麻酔は6948例に1例(0.014%)、全身麻酔は5万3950例に1例(0.0019%)となり、全身麻酔の方が7〜8倍安全ということになります。  最近の全身麻酔の統計では英国での18万例に1例、ニューヨークでの40万例に1例というデータがあり10万例に1.3例以下というところだと思われます。これを飛行機事故と比較すると、1992年の旅客機の死亡事故は10万飛行時間当たり0.10と発表されていますので、13時間飛行機に乗って事故にあって死亡する確率と、全身麻酔を1回受けて死ぬ 確率はほぼ一緒ということになります。手術する所以外に病気のない、全身状態の比較的良い人の麻酔死亡率は、アメリカのハーバードメディカルスクールの関連病院での1976〜1988年までの集計で20万例に1例で1985年以降の24万4000例では死亡例はゼロです。  国際線の旅客機に乗って死ぬ心配をするくらいの気持ちで全身麻酔をうけられれば良いと思います。 もっと詳しい事を知りたい方は、全身麻酔のすすめ(真興交易医書出版部)をお読み下さい。