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2023年度~2025年度 官学連携事業 「子宮頸がんに関する健康推進事業」事業報告書

官学連携事業 「子宮頸がんに関する健康推進事業」
~3年間の活動を振り返って~
宮崎県立看護大学 専門基礎分野 教授 川越靖之


官学連携事業「子宮頸がんに関する健康推進事業」を、3年間にわたり実施してまいりました。これまで本事業にご協力いただいた大学教員ならびに看護研究研修センターの皆様、宮崎県福祉保健部、宮崎市親子保健課、健康支援課、県議会・市議会議員の皆様をはじめとする行政関係者の皆様、宮崎大学産婦人科の皆様、本学学生、セミナーに参加された高校生の皆様、そして関係各位に心より感謝申し上げます。


私は、宮崎大学医学部産婦人科を中心に約32年間産婦人科医として勤務した後、2022年4月に本学へ着任いたしました。同時期に宮崎県産婦人科医会会長に就任し、本県が抱える産婦人科領域の諸課題の解決に取り組むこととなりました。奇しくも同年、HPVワクチンの積極的勧奨が再開され、以前より子宮頸がんの罹患率が高い宮崎県において、その撲滅(elimination)にはHPVワクチンの普及が不可欠と考えました。一方で、副反応に対する懸念が依然として根強い現状を踏まえ、HPVワクチンの有効性と安全性、ならびに子宮頸がん予防の重要性を広く周知することを目的とし、本事業を立案し推進してまいりました。


本事業は、着任2年目の2023年度より開始し、宮崎県、県内自治体、宮崎大学産婦人科、宮崎県産婦人科医会、そして本学という強固なネットワークのもと活動を展開してまいりました。その過程で、株式会社アステム、さがら病院宮崎、一般社団法人日本健康倶楽部の皆様との出会い、新たな連携も生まれより多角的な事業展開が可能となりました。


また、看護大学として本事業に取り組む意義の大きさも改めて認識いたしました。現在の大学生は、約9年間にわたり接種勧奨が差し控えられていた「キャッチアップ接種世代」に該当します。そこで、着任後に設立した母子保健研究クラブ(すくすく倶楽部)の学生を中心に啓発活動を重ねた結果、本学学生の接種率は約90%に達しました。学生たちが自らの健康を主体的に捉え、将来、看護職者として幅広い視点から健康を支える人材へと成長する一助になったものと確信しております。


啓発活動においては、3年間を通じて子宮頸がんサバイバーである原千晶氏をお招きし、宮崎市、都城市、日南市にて講演会を開催いたしました。原様にはその他の講演を含めると計5回にわたり来県いただき、貴重な体験談を通じて子宮頸がんの恐ろしさと検診・予防の大切さを県民に伝えていただきました。ご多忙の中、多大なご尽力をいただいた原様には感謝に堪えません。さらに、看護学生による宮交シティや宮崎駅前でのリーフレット配布、宮崎県防災庁舎でのポスター展示など、多岐にわたる活動を展開することができました。


こうした取り組みの結実として、2025年度、宮崎県のHPVワクチン定期接種率は全国第1位となりました。ワクチンの普及は、近い将来、必ずや本県の子宮頸がん罹患率の低下に寄与します。若い世代の健康増進は地域の活性化に繋がり、より健やかな未来への架け橋となるものです。


最後に、本事業に参画し、多大なるご支援・ご協力を賜りましたすべての皆様に、重ねて深く感謝申し上げます。本事業の成果が、宮崎県における女性の健康増進、ならびに各自治体によるさらなる健康普及活動の礎となることを心より祈念し、ここに報告いたします。


2026年3月
宮崎県立看護大学 専門基礎分野 教授
川越靖之