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ピルのお話

月経の仕組みについて2016年2月5日「きゅんと」掲載の記事を読みましたか?月経は、視床下部、下垂体、卵巣の働きによって成り立っているという内容でしたね。これらが正常に働くことによって排卵が起き、卵管で静止が待っていれば妊娠しますし、精子がいなければ厚くなった子宮内膜は剥がれて月経が来ます。

今回は、排卵を抑制してより確実な避妊ができるピルのお話をします。「ピルって体に悪そう、副作用が怖い」と誤解している人が多いと思います。ピルの作用機序(仕組み)を理解すればピルでなぜ避妊ができるのか、やめたらなぜ妊娠できるのかが理解でき、安心できると思います。

ピルとは、排卵に伴って卵巣から分泌される女性ホルモン(子宮内膜を厚くするエストロゲンとその内膜を維持するプロゲステロン)がバランスよく配合された薬で、月経中から1日1錠ずつ飲み始めます。ピルを飲むと、「ホルモンが十分あるから排卵しなくてもいい」と脳が判断し、排卵が抑制され避妊効果を発揮します。ピルの内服をやめると、排卵の準備が再開するので不妊の原因になることはありません。

ピルが開発されたころは、ホルモン含有量が多すぎて吐き気などの副作用が強かったのですが、改良が進み副作用がかなり軽減しました。世界保健機構(WHO)も初経を迎えたらピルを内服してよいとしています。

日本では1999年にホルモン含有量が少ない低用量ピルが使えるようになりました。低用量ピルは避妊以外の目的で月経困難症の治療薬として使用することもできます。基本は28日周期で内服をやめて出血を起こしますが、子宮内膜が薄いので、経血量が少なく痛みも軽くなります。鎮痛剤を飲んでも生理痛がきつい人は、子宮内膜症などの病気のサインかもしれないので、痛みを我慢せず産婦人科に相談してみてください。

日本のピル普及率は欧米に比べてとても低いといわれています。その中でも本県はピルの処方が少ない県の1つです。多くの人にピルについて正しい知識を知ってもらい、必要とする人が安心して内服できるようにしていきたいと日々思いながら診療をしています。