平成27年1月

宮崎県医師会長 河野 雅行

            年頭所感 「医師会とは」
             


 新年,おめでとうございます。
 年頭に当たり,改めて「医師会とは」をテーマとして取り上げたい。医師会に対する世間の受取は如何でしょうか?過去のニュース等から,圧力団体,営利団体,抵抗勢力,よくばり村の村長さん等々,良い表現は少ない。
 宮崎県医師会の目的は,「医道の昂揚,医学・医術の発達普及及び公衆衛生の向上を図り,社会福祉の増進に寄与する事を目的とする」と定款に掲げてあり,他の医師会組織も略同様である。日本医師会は全国会員500名に一人宛選ばれた日医代議員によって選出された日医執行部により運営されている。宮崎県医師会は同様に県内会員50名に一人宛選ばれた県医代議員により選出された県医執行部により運営されている。郡市医師会も其々の定款・規約に拠り役員選出・運営が為されている。
 日医以下の医政に対する判断根拠は「公的国民皆保険の堅持」「安心安全な医療に資する政策か」と「定款」「日医綱領」に依る。これ等を基に県・郡市医師会の活動は多岐に渡る。地域医療,予防医療,学校保健,労災・産業医療,周産期医療,小児関連医療,警察関係・死体検案,介護関連,スポーツ関連,交通事故等々社会的・公共的活動を活発に行っている。この様に医師会は社会に貢献しているにも関わらず評判の良くないのは何故か?会員諸氏は医師会の実態と報道や国民意識との間に差があることは良くご存知である。国民にはどれ程理解されているであろうか?
 如何なる事態でも医師としての矜持は保ちたい。しかしプライドばかりでは,現代社会は生き抜けない。「衣食足りて云々」の格言を拡大解釈すれば,医師の生活・立場に余裕がないと,ゆとりのある医療は施せない。以前に比べると医療機関経営は苦しく,社会的地位も下落した。医療訴訟が増えたのもその表れとも言える。しかし,訴訟を恐れて萎縮医療になれば国民が困る。
 正しく理解してもらう努力が必要である。医師会の業績・功罪を問えば,国民の健康増進に貢献したのは功(業績)であるが,罪は何であろうか?国の政策に唯々諾々として従わず,誤った施策に抵抗したことであろうか?しかし,これも国民のためを思っての結果であり功と言うべきで,その他罪に該当するものが思い浮かばない。
 会員の中には現在の医師会活動に「異見」があり,圧力団体となるべき等の意見があることも承知している。日本人は不言実行とか,控え目が美徳とされ,目立つ存在や行動は忌避され易い。しかし,頭を垂れて控えてばかりでは存在すらも無視される。今以上に控え目にはなれない。しかし,強引な手法は更に誤解を招き,混乱・反発を招く結果となろう。今後の医師会は,今まで同様地道に地域医療に専念し,国民のために声を挙げ続けるのが最善と思われる。そのために,必須なのは医師の結束・団結である。
 会員諸氏のご多幸を祈念しまして,本年も宜しくお願いします。
                                    (平成26年12月20日)
                                      


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