平成27年4月

宮崎県医師会長 河野 雅行

         宮崎県医師会創立126周年記念医学会
             


 今年は宮崎県医師会創立126周年である。県医史によると明治22年(1889年)2月25日に県議会議事堂で4日間にわたり,57名の医師により第1回目の連合医会総会が開催された。その後,明治39年に医師法,医師会規則が交付され,明治40年(1907年)に宮崎県連合医会は宮崎県医師会と改称新設され,脈々と受け継がれて現在に至っている。
 平成18年秦喜八郎会長(当時)の発案で,毎年2月25日の創立記念日に「創立記念医学会」を新たな装いの元に開催している。当日はまず医神祭が執り行われる。医神とされる大穴牟遅神(おおなむちのかみ)像(因幡の白ウサギで知られる大国主命(おおくにぬしのみこと)。この神は別称が多く謎の多い神である。古事記・日本書紀では仁徳を伝えており,医術を以って人々を救済したとの伝承により医神とされる)に向かい祭礼を行う。この祭神像は県医史によると,昭和11年開催の九州医師大会の際に各県へ贈られた物の一つで,昭和12年杉田直会長の頃より祀られてきた。その後,戦争等の混乱期に中断し,昭和49年内田醇会長時代に医神祭として復活した。当時は故事に習い3月4日[明和8年(1771年)3月4日杉田玄白らが刑場で解剖を見学し,我が国西洋医学の嚆矢(こうし)とされる]に執り行われてきた。平成18年からは県医師会創立日である2月25日に記念医学会の一環として行われるようになった。
 次いで,医学会が開催される。前年に県医学会誌に掲載された会員論文の中から選ばれた医学賞受賞者の講演がなされる。今年は串間市民病院井上龍二先生の「過疎地域に位置する当院の高齢者胆道内視鏡治療の現状と問題点」で,医療第一線における真摯な活動が評価されたものである。続いての特別講演は,宮崎大学医学部長丸山眞杉先生による「宮崎大学医学部のミッション」で,大学の置かれている現状と課題,将来の展望について述べられた。
 更に今年は,ヒポクラテスの樹の記念植樹を行った。これは,古代ギリシャで医聖とされるヒポクラテスがコス島のプラタナス大樹の下で弟子に医学の講義を行ったとされる伝承に基づく。コス島にあるプラタナス古木の種から日赤医療センターで育てた苗を昭和55年頃に,県医師会,宮崎医科大学(現宮崎大学医学部),宮崎市郡医師会に移植した。その後,他の場所の樹は枯れて,当時は元気の良かった県医師会の樹から宮崎医科大学に再移植して,今は元気に育っている。更に,話は続く。9年程前に,今度は県医師会の樹が枯れて,記念碑のみが残されていた。そこで,宮崎大学名誉教授中尾登志雄農学博士に宮大の樹から育苗していただき,この度植樹の運びとなった。会館西側の庭園に植えてありますので,ご来館の折にでもご覧ください。今回は,注意して医のシンボルであるこの樹が大きく育つことを念じる。県医師会も,世は移ろい人は変わっても,目的の「県民の生命と健康を守る」精神を受け継いで,150年,200年記念を迎えたいものである。(平成27年3月17日)
                                      


バックナンバー