肺がんの症状(中心型はCT検査必要)

 

質問 20歳頃より一日20〜40本のタバコを吸っていますが、最近咳や痰がでるようになりました。肺癌が心配です。肺癌の症状を教えてください。(58歳、男性、官崎市)

答え 肺癌はその発生部位により、肺の中心部の比較的太い気管支に発生する肺癌(中心型)と肺の外側部に発生する肺癌(末梢型)とに分けられます。

中心型の肺癌は気管支を刺激するために、咳や痰が生じます。更に、気管支粘膜を損傷するようになると、血痰や喀血が見られるようになります。又、癌が大きくなって気管支を閉塞するようになると、肺炎を起こして発熱や呼吸困難などの症状が見られるようになります。末梢型の肺癌は自覚症状に乏しく約3/4が無症状ですが、胸水貯留(癌性胸膜炎)が出現してくると胸痛や呼吸困難が見られるようになります。

 肺癌の初発症状としては特異的なものはなく無症状のことが多いので、検診や他の病気で病院を受診したときに肺癌が発見されることが多いようです。しかしながら、中心型の肺癌の場合には、咳や痰(血痰)が初発症状として比較的早期より見られることがあります。そして、このような肺癌は、非喫煙者よりも喫煙者に多く発生します。

 肺癌の診断で末梢型の肺癌には胸部X線検査が有用ですが、喫煙者に多い中心型の肺癌では、胸部X線検査で発見困難なことがあります。重喫煙者で咳や痰(血痰)が長期に続くときに、胸部X線検査で異常が無くても胸部CT検査、喀痰の細胞診検査さらには気管支鏡検査が重要な検査となってきます。

 

 最近の肺癌の増加は著しく検診にて早期発見につとめているものの、日常診療の場では進行肺癌の比率が高いのが現状です。肺癌の治療には癌化学療法、放射線療法、手術療法がありますが、根治を期待できるのは手術療法だけです。

 検診で発見された肺癌は、症状発現後に発見された肺癌と比べ2倍近くの割合で手術療法がなされています。少なくとも年に1回の検診を受けることが、肺癌の早期発見のために必要です。(宮崎県医師会 河野謙治)

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