おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

  平成16年12月25日放送

お産の危険性について

宮崎県産婦人科医会 金田 太郎

お産はほとんど全ての人が安産と考えていますが、100人が100人全て安産というわけにはいきません。約1割の人が難産あるいはそれに伴う帝王切開ということになり得ます。

分娩を左右するものには母体側と胎児側と二つの要素が存在します。まず母体側には娩出力(陣痛)、産道(赤ちゃんの通る道)の2つ。胎児側は胎位(赤ちゃんの位置)、胎勢(赤ちゃんの姿勢)、回旋(赤ちゃんの回り方)、発育、数の異常など。胎児に附属しているものとして卵膜、胎盤、臍帯、羊水これらに1つでも異常があれば分娩異常を起こします。

まず、産道ですが、骨盤と子宮、腟の二つの通り道があります。当然骨盤が赤ちゃんの頭より狭ければ通りません。子宮及び腟では子宮の出口が固くて開かなければ赤ちゃんは出てきません。高年出産が良い例でしょう。

次は胎児の異常ですが逆子等は危険が伴います。また、赤ちゃんは回旋して出てきますが異常な回旋を起こすと途中で分娩が停止したり難産を起こします。数においても多胎妊娠の人は妊娠中毒症やそれに伴って胎児の発育不全を起こしたりします。中には子宮の中で知らない間に死亡したりすることもあります。

 胎児の附属物においては卵膜(赤ちゃんを包んでいる薄い膜)が子宮内感染を起こし胎児を危険な状態にしてしまうこともあります。次は胎盤の異常ですが代表的なものに前置胎盤があります。これは、子宮の出口を胎盤が覆っていて子宮の開大により大出血を起こします。臍帯の異常では首に巻いていたり、赤ちゃんより先に出て来て赤ちゃんを窒息させたりします。羊水においてはあまり多いと赤ちゃんの奇形を予測させますし少なければ赤ちゃんに陣痛時に負担をかけ危険になります。

また、妊婦さん自身の生活の規則性、食事のあり方、ストレス等により異常が起こり得ますのでこの改善に努めて、妊婦健診において多々異常をチェック出来ますので、サボることなく定期的に健診を受けるようにして下さい。