おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

  平成17年4月2日放送

学校と子どもの健康
       

         宮崎県医師会  浜田 恵亮

 

教育基本法第一条に「教育は、・・・心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない」とあるように、学校は生涯にわたる健康づくりの出発の場として大きな役割を担っています。学校では学校保健、学校安全、学校給食の3本柱のもとに健康教育が行われており、医師、薬剤師、栄養士など多種の職種のスタッフが関わっています。医師は子どもたちの健康教育と多くの関わりがありますが、ここでは学校定期健康診断と学校・地域保健連携推進事業について話しを進めます。

 

学校定期健康診断では内科的、眼科的および耳鼻科的な診察のほかに、身体計測、視力、視力、尿、心電図の検査が行われます。身体計測は身長と体重を計るという簡単な作業ですが、年度毎の身体計測値の変化を評価することによって不健康なやせ(神経性食欲不振症)、肥満、子どもに加えられている虐待などを発見することができます。学校検尿は腎疾患や糖尿病の早期発見を目的に行われています。学校検尿による腎臓病、またはその疑いの子どもたちの早期発見によって腎不全などの重篤な状態になる前に治療ができる、人口透析への導入を減少、導入を引き伸ばすことができるなど、検診の有用性は高く評価されています。また糖尿病検診も児童生徒の肥満の増加に伴い、その検診の有用性は更に高まると考えられます。

 

 学校・地域保健連携推進事業は宮崎県教育委員会が宮崎県医師会と連携して地域の産婦人科医、精神科医、皮膚科医、整形外科医などの専門医を学校にして派遣し、日常的に児童生徒の心身の健康管理を行う事業です。県下の45校の小・中・高校で専門医による講話、指導が実施されました。これからも保健室登校、性の逸脱行動、アレルギー疾患、スポーツ外傷など深刻な問題に専門的な立場から対処していくことにしています。私たちは健康教育への関わりを積極的に受け止める必要があります。