おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

 平成17年5月7日放送
前立腺がんについて
 
          
            宮崎県泌尿器科医会  蓮井 良浩

 前立腺がんは増加しているのですが、2015年の前立腺がんによる死亡数は、1990年の約3.9倍になると予測されています。これは、すべての部位の男性のがんの中で最も高い増加率となっていますが、2000年の実際の死亡者数は予想された死亡者数を20%も上回っていたので、予想をはるかに上回る前立腺がんの死亡者数の増加が今後予想されます。前立腺がんが増加している原因は、前立腺がんは年齢と密接な関係があって、50歳から発生が多くなるという特徴があります。現在、日本は高齢化社会を迎えつつありますので、このことで前立腺がんの発生が増加していると思われます。他の原因として、食生活で前立腺がんの発生に動物性脂肪が関与していると推定されていますので、食生活の欧米化が日本人の前立腺がんの増加を引き起こしていると思われます。

 前立腺がん発見するための前立腺がん検診がありますが、前立腺がん検診では血液検査を行ってPSAを調べます。PSAは前立腺特異抗原のことで、前立腺から分泌されて、前立腺がんの約80%を診断することができます。そして、PSAが異常であれば、二次検診として泌尿器科専門医を受診して、がんの有無についての検査を受けます。前立腺がん検診でPSA検査を受けることで、全国平均で検診受診者の1.2%で前立腺がんが見つかっています。これは他のがん検診と比べて約10倍も高いがん発見率です。また、根治治療を受けられる早期がん、つまり治療で治る前立腺がんの割合も多くなることがわかっています。前立腺がん検診の受け方は、前立腺がんの発生が50歳を超えると急に増加しますので、50歳からPSAによる前立腺がん検診を受けて下さい。また。お父さんやご兄弟の方に前立腺がんが見つかっている場合には、ご自分が前立腺がんになる危険性が倍以上になりますので、40歳から検診を受けて下さい。