おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

第27回 平成15年7月5日放送 
うつ病とうつ状態について
 
宮崎県精神科医会  岩本直安

 

 毎日の生活においては、いろいろな精神的ストレスがあります。うつ病やうつ状態は、ストレスにさらされれば誰でもなる可能性があります。最近、働き盛りの中高年男性の自殺が増えていますが、その原因としてうつ病などの心の病気が隠れていることがあります。症状が悪化する前に適切な治療や休養をとることが必要です。また職場でのうつ病に関する啓発も自殺予防対策として効果的です。

 うつ病は「こころのかぜ」ともたとえられるように誰にでもかかる可能性があり特別な病気ではありません。他の病気と同じで早期発見と適切な治療が必要です。うつ病の場合こころと身体の両方に症状が現れます。食欲がなかったり、疲れやすいなどの疲労感や、胃もたれ、吐き気、動悸などの身体的症状の他、「気分がすぐれない」「なんとなくやる気がでない」「考えがなかなかまとまらない」「これまでてきぱきとできていたことができない」などの症状が続いたり、「寝つきがわるい」「夜中に目が覚める」などの睡眠に関する障害があります。自分の生活の中でこのような症状や体調の変化について点検をしてみてください。症状が一時的なものであれば、ゆっくり休養し体調を整えたり気分転換をはかることなどで回復しますが、長引く場合は注意が必要です。

 症状が軽い場合は人に相談することでずいぶん心が晴れたりするものです。一人で悩まずにだれかに相談することがとても大切です。友人でも家族でも仲間でもいいと思います。最近では、有効な病気の治療法も確立されています。県内の医療機関、心療内科や精神科など専門機関に気軽に相談してください。宮崎県精神保健福祉センターでは、こころの健康全般について悩みや不安を抱えている方に専門相談員による「こころの電話」相談をやっていますのでお気軽にお電話ください。また精神保健相談については県内の各保健所でも随時相談を受けています。専門医による面接相談などもありますので、一人で悩まずにまず相談してみてください。