おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

  平成16年7月24日放送

気をつけたい夏の体調管理:熱中症

宮崎県内科医会 平塚 正伸

 熱中症は高温多湿の場所で激しく運動や仕事をした場合、塩分や水分が不足したり、体温が異常に上昇して起きます。熱中症は暑さによって起こる障害の総称で、「熱けいれん」「熱疲労」「熱射病」の3つに分かれます。
原因と症状は「熱けいれん」は塩分不足により四肢や腹部に痛みを伴う筋肉の収縮がおきます。「熱疲労」は発汗で水分と塩分が失われたために脱力感、めまい、頭痛、嘔気、顔面そうはくになります。「熱射病」は発汗により体温調節が出来なくなり、体温上昇による中枢神経系障害(頭痛、めまい、意識混濁、意識不明)、40℃以上の高温をきたします。以前は「日射病」という名称が使われていましたが、家の外で直接日に当たらなくても、体に熱がこもると同様の症状が起こることがあるため現在は熱射病という名称がつかわれています。

 
熱中症を予防するポイント

@なりやすい条件を知る
気象条件:高温多湿、強いひざし、無風(戸外だけでなく風通しの悪い体育館など、室内で運動や作業をしている時や暑い室内で過ごしているとき起こることもあります)。
なりやすい人:暑さに慣れていない人、睡眠不足の人、体調不良の人、高齢者、子供。

A水分を十分補給する
 水分は5℃ぐらいの時が胃から腸へながれやすく、吸収されやすいと言われていますが,冷たすぎると胃腸に負担がかかりますので15℃から22℃の水にします。一日の水分必要量は2〜3リットルと言われています。上手な飲み方は3〜5分かけて食事前30分〜60分に朝は1L、昼は500mL、夕方500mLとるのが良い。夜9時以降は口が渇いたときに口に含むくらいが理想的な水分補給の仕方。暑いなかでの作業や運動時には、こまめに水分を補給します。
 飲み物の種類は、運動や作業が長時間にならなければ、普通の水でかまいませんが、しかし長時間に及ぶ場合は塩分の入ったものがよく、スポーツドリンクなどが勧められます。カフェインをふくむコーヒーやお茶は利尿作用があり水分を排泄させるので水分の補給の観点からはスポーツドリンクの方が向いています。

B適切な服装をする
 (体に熱がこもらないように、熱を逃がしやすい服装にします)熱を逃がすにはかいた汗を吸収し、それを素早く乾かす、風通しの良い服装を選びます。色は、熱を吸収しにくい、白っぽいものを選びます。つばの広い帽子で、首の後ろを日ざしからまもりましょう。