おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

 平成16年7月31日放送
帯状疱疹
 
          宮崎県皮膚科医会 外山 望

宮崎県では、たんとか、はしりだんとか、おびたんと呼ばれています。

昨年の末、皇太子妃の雅子様がこの病気にかかられ入院された亊は、県民の皆さんも覚えておられるのではないでしょうか。
原因は、水ぼうそうと同じ水痘帯状疱疹ウイルスによって起こります。
小さい時に、水ぼうそうにかかって、そのウイルスが知覚神経の根元に潜伏します。

体力が低下した時に、そのウイルスが目を覚まし、その知覚神経にそった形で発症してきます。

宮崎県の皮膚科医会では、全県下の皮膚科医の協力を得て、1997年から毎月、帯状疱疹の集計をしています。
それによりますと毎月400人余り、年間5千人弱の患者さんが皮膚科医を受診しますので、けっして珍しい病気ではありません。
症状としては、通常、身体の片側にできます。そして、できる場所に一致した神経の痛みがまず先にでるのが普通です。
やがて2・3日から10日位して小さな水ぶくれが神経の走行に沿って帯状にできて拡がってきます。
1週間くらいは症状が進行しますが、やがてこのみずぶくれが破れて約2週間くらいしてかさぶたとなって、ほぼ3週間位で治ります。

今は有効な抗ウイルス薬が開発されていますので、通常、1週間程度の内服治療で軽快します。
お年寄りではなんらかの痛みが残る亊が多く、こういう状態を帯状疱疹後神経痛といいます。
これは長い間続く亊が多く、根気よく治療する亊が必要です。

帯状疱疹は、痛いからといって扇風機で風を当てたり、氷で冷やしたりして、局所を冷やすことは厳禁です。逆に局所を温めると痛みが軽くなります。これは温める亊で血行がよくなり痛みの悪循環が断たれるためだと思われます。初期の状態でも入浴しても結構ですので、お風呂に入って身体の芯から温めて下さい。痛みが楽になります。

使い捨てのカイロなどで局所を温める亊も有効です。

また、帯状疱疹ができることは体力の弱っているためですので、できるだけ安静にすることが必要です。早めに適切な診断と治療が必要ですので、身体の片側に痛みを伴う赤みや水ぶくれができたら、皮膚科専門医を受診して下さい。