おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

 平成16年8月14日放送
手のしびれについて
 
        宮崎県整形外科医会 川野 啓一郎

しびれとはそもそも神経が障害された症状で感覚の異常か感覚がおちている状態です。通常痛みは含まれません。

手のしびれが、どの部位に出て、どのように進行していったかは、とても大切な情報となります。例えば、しびれが親指側なのか、小指側なのか、左右対称に出ているか、片側にあるか、足や顔にもしびれがあるか、といった症状を患者さんがしっかり把握しておくことが大切です。

手のしびれは内科的な病気が原因のこともありますが、多く見られるのは、頚の障害で出てくるしびれです。頚椎の椎間板ヘルニアや、骨が変形して神経を圧迫する状態などが原因となります。頚椎の病変の場合は、手のしびれの他に頚周囲の痛み、肩こり、頚の動きが悪くなるなどの症状が見られます。通常は片方に出ますが、両手に出る場合は、脊髄圧迫の症状が考えられ、注意が必要です。

その他に手のしびれの原因としては、絞拒性神経障害と呼ばれる状態があります。頚椎から出てきた神経が腕から手の方へ下りていく途中の関節の付近で神経が圧迫されたり引っ張られたりすることで出てくるしびれです。

この絞拒性神経障害の中で最も多く見られるのが、手根管症候群と呼ばれる、手首付近の神経の障害です。女性に多く、両手に出る場合が多く見られます。

手首の手のひら側の部分で、骨と靭帯でつくられたトンネルがあり、指を曲げる腱と、正中神経と呼ばれる神経が通っています。手の使いすぎによる腱鞘炎や骨の変形などによって神経が圧迫されると、親指から薬指の内側半分にしびれが出てくることになります。しかし、原因がはっきりしないものが多いようです。

治療としては、手首の関節を固定したり副腎皮質ステロイド剤の局所注射や抗炎症鎮痛剤の投与を行いますが、これらの治療で良くならない場合は手術を行います。

手術は神経圧迫の原因となっている、手首の靭帯を切り離す手術です。

患者さんが自分でしびれの状態を十分観察し、正確な情報を医師に伝えて頂くことが、正確な診断につながります。