おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

第21回 5月24日放送分 
紫外線と皮膚
 
宮崎県皮膚科医会 成田博実

                                          

 太陽光線がなければ人類は存在できません。赤外線は暖かさを,可視光線は光を供給して,生きとし生けるものに恵みをもたらします。紫外線は地球の浄化には貢献しますが,悪い面もあります。

 その悪い作用は急性障害として,日焼けや色素沈着(肌色の黒化),そして局所免疫能を低下させて単純ヘルペスを誘発します。また,薬剤性の日光皮膚炎もあります。慢性障害として,シミ,シワ,イボなどの皮膚の老化や皮膚癌を引き起こします。オゾン層が1%減少すると,紫外線が2%増え,皮膚癌が3%増加するといわれています。ある医者は紫外線を死害線と呼び,またある先輩は殺人光線と呼称して,紫外線は怖いという啓蒙活動に使っています。

 人類の祖先は海の生物から進化したわけですが,地表に出る際に太陽光線の紫外線が地表進出を邪魔したといわれています。紫外線に打ち勝つために生物はメラニン色素を進化の過程で獲得したと考えられています。メラニン色素は紫外線を吸収して有害作用をブロックします。ですから,メラニン色素の多いつまり,色の黒い人の方が,紫外線には強いのです。

 日本では南の,緯度の低いところに位置する宮崎は,単位面積当たりの紫外線強度は日本一です。宮崎より赤道に近い沖縄は曇り日が多くて,実は宮崎より低いのです。したがって,南国宮崎では紫外線対策は絶対に必要です。

 紫外線の有益作用であるビタミンD生合成が強調されてきましたが,実際には,食事からの摂取で充分なのです。子供のときから紫外線対策をして若々しい肌を保つことが大切です。

 

以下は宮崎県皮膚科医会が纏めた紫外線対策7ヵ条です。

1.紫外線の強い10時から14時まではとくに注意しましょう

2.外出時は帽子や日傘,長袖シャツなどを上手に使いましょう

3.衣類は白いものより黒いものの方が遮断効果はあります

4.曇りの日も紫外線はかなり強いので油断しないようにしましょう

5.ガラス越しの光でも日焼けはおこります

6.急激な日焼けは止めましょう

7.日焼け止めクリームにもかぶれることがありますので,肌にあったものを選びましょう