夜間に2〜3回トイレに行かれる症状をもつ男性より、前立腺についてのご質問をいただきました。
これは、夜間頻尿と呼ばれる症状で、前立腺肥大症によくみられる症状です。60歳以上の男性が、夜間2回以上トイレの起きるような場合、前立腺肥大症が疑われます。
前立腺とは、男性の膀胱の出口部の尿道の周囲を取り巻くように存在する臓器で、精液の一部を分泌します。正常な大きさはクルミ位の大きさですが、加齢とともに大きくなる傾向があります。肥大した前立腺により尿道が周りから圧迫されることにより様々な症状が出現します。
前立腺肥大症の初期は無症状のこともあり、その後、排尿困難・頻尿・残尿感といった刺激症状や、排尿の中断・排尿に時間がかかるといった症状が出現し、進行すると残尿が発生するようになり、尿が出なくなる尿閉を起こす場合もあります。さらに進行すると、膀胱が拡張し、腎機能障害となる場合もあります。
前立腺肥大症は、高齢の男性に最もよくみられる良性の新生物で、60歳代では75%、80歳代では95%に認められるといわれています。前立腺肥大症の検査は、触診や超音波検査などで容易に診断がつき、症状や大きさに応じた適切な治療を行うことで症状は改善することの出来る疾患です。
また、この方の場合、腰痛があるようですが、泌尿器科の疾患が腰痛の原因になっている場合もあります。以前お話させていただきましたが、前立腺癌の骨転移の場合、腰痛がきっかけで発見されることもあり、50〜60歳以上の男性で、腰痛があり、特に排尿障害のある場合には注意が必要です。
排尿障害がある場合、年寄りだからしかたがないと放置せず、専門医の診察をお勧めいたします。