おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

第38回 平成15年9月20日放送
子供の事故防止について
 
宮崎県小児科医会 先成英一 

 

 現在の日本では、医療水準の向上や生活環境の改善により、病気による子供の死亡率は減少してきていますが、その反面、1歳を過ぎると「不慮の事故」が死亡原因の第1位に上がってきます。乳幼児の死亡事故の原因は、赤ちゃんの発達や成長に伴い、年齢により事故の形態が変わってきます。

 乳児期に多い「窒息」は柔らかい布団や枕に顔がめり込んだり、重い布団や縫いぐるみ等が顔にかぶさって起こります。また、おもちゃ・よだれかけ等に付いている紐やタオルが首に巻きついたり、ビニール袋が顔にかぶさり窒息することがあるので、ベッドの中や周辺を整理することが大切です。

 また、乳児期後半の赤ちゃんは、興味のある物に触ろうとするので火傷をしないように、アイロン・炊飯器・ポットは近くに置かない、ストーブは柵で囲む、テーブルクロスは使用しない等の対策が必要です。また、手に触れた物を何でも口の中に入れる習性があるので「気管に物を詰まらせる事故(窒息)」や「危険な物を飲み込む事故(異物誤飲)」が多くなります。身の周りの整理整頓やちり箱が近くにないように気を配りましょう。

 1歳を過ぎると歩行が可能となるので、溺水・転倒・転落・交通事故等が発生します。1歳児に多い溺水事故の約7割が浴槽に転落して起きています。使用後は湯を抜くか、浴室に鍵をする等の防止対策が必要です。転落防止策としては、階段の上下に柵をする、窓やベランダでは踏台や新聞雑誌の束を置かない等の注意が必要です。

 交通事故対策としては、チャイルドシートの正しい着用、歩行の際には必ず子供と手をつなぎ自動車の通らない側に保護する。自転車に乗る時のヘルメット着用、大きくなったら交通ルールを教える事等が大切となります。

 最後に、子供の事故は「不慮の事故」Accidentではなく、子供の正常な発達や発育を知って行動パターンを理解すれば、親の気配りと子供の周囲の環境を整備することで半分以上は予防可能なので、是非実行に移して頂きたいと思います。