おしえて!ドクター健康耳寄り相談室

第70回  平成16年6月12日放送

薬の組み合わせ

宮崎県内科医会推薦(薬剤師) 矢田部 正博

 

「くすり」は、病気や怪我を治すための大事な道具です。最近は、食品や環境について、安全性への関心が高まっていますが、「くすり」も安心して使用していただきたいと思います。

「くすり」を使うことによって、身体が反応しますが、よい結果になれば「効果」がある。悪い方向に向かう様なことになれば「副作用」ということになります。「くすり」の効果・副作用は使い方によって変わることが多いので特に注意しています。が、また同じ「くすり」でも、その人の状態で大きく変わることがあります。たとえば、「くすり」を飲む方が、他の病気で別の「くすり」を飲む機会があります。また、薬局・薬店で買える「くすり」を使用する場合もあります。「くすり」の組み合わせによっては、身体に対してより強く反応することもあるし、または、逆に効果を妨げることがあります。つまり、「くすり」の飲み合わせと言うことになり、治療の妨げになります。

また、「くすり」によっては、食べ物、飲み物によっても同じようなことが起こることがあります。専門的な言葉で「相互作用」と言います。

通常、飲み薬は、腸管で吸収され、血液で運ばれて作用します。その後、肝臓で代謝され腎臓から排泄、または直接腎臓から排泄されます。つまり、「くすり」は身体の中で、吸収され・分布し・代謝されて・排泄されるという、四つの段階があります。この間に、別の「くすり」または、食べ物等が影響しなければ問題ありません。逆に影響する場合であってもうまく避ければ、安心して「くすり」を飲んでいただけるのです。

「くすり」の飲み合わせの具体例として、一般的にはたとえば、アルコールとは、抗ヒスタミン剤、抗うつ剤、安定剤等の中枢神経抑制作用のあるものは、作用が強くなります。カリウム排泄作用の強い利尿剤とは、甘草を含む健康食品や漢方薬を併用しますと、低カリウム血症を起こすことあります。アルムニウムやマグネシウムを含む制酸剤・胃薬などは、感染症の治療によく使われる合成の抗菌剤の吸収を妨害し効果を弱めます。

飲み合わせをなくすためには、「くすり」をもらう時に、お医者さんや薬剤師に正確な情報を伝えることが先ず大事です。普段飲んでいる「くすり」があれば、「くすり」の名前、覚えられないようであれば、実物を持参するか、メモすることも必要です。後は、飲み合わせを含めて「くすり」を安全に飲むための説明を正しく理解することが大事です。