令和5年12月号 再びAI(チャットGPTを試用して)

 チャットGPT(無料)を試しました。いくつかのキーワードを入力すれば文章になって表示されます。私の文章よりも優れており,有料であれば更に機能の高度なものもあるようです。今後の原稿はAIに任せて楽になるのではないかと淡い期待をします。ただし,今回の原稿は自作です。

 現代のAIは生成AIと言われており,性能進化は日進月歩で今日の新製品も明日は型落ちになってしまいます。50年ほど前,研究データを画像処理するのに給料をはたいて購入した(当時はマイコンと称す)「アップル2」はソフト類もほとんどなく,マニュアル片手にベーシックワードでプログラミングしてなんとか作り上げ,学会で発表したのが懐かしく思い出されます。これは科研費に採用され後日雑誌に掲載しました(臨床整形外科1981年16巻)。当時は小容量でスピードも大変遅く,保存は磁気テープでした。専門家は,現代の安価で手軽なパソコンでも当初の大型機種以上の性能を持ち,容量も速度も格段に進化しており,将来は人智を超えると予測しています。現時点でも将棋やチェスの分野ではプロ級のレベルで,部分的にはすでに人間の能力を遥かに超えています。チャットGPTの能力があれば小説や俳句,短歌,作詞・作曲などあらゆる部門にも進出するのではないでしょうか。芥川賞や直木賞をとるAIが出るかもしれませんし,さまざまな研究部門にまで進出すればノーベル賞の対象となるかもしれません。現在でも瞬時に正確な判断を要する部門には多用されており,その最たるものが軍事面であり,医療面でも画像読影や病理診断では威力を発揮し始めています。AI搭載の医療・介護器具も開発されており,産業界では大量生産や精緻作業にはAI搭載ロボットが不可欠です。二足歩行やジャンプ,宙返りなどの運動能力を備えたタイプやペットまでも開発されています。完全自動運転の車も開発中です。将来は競技スポーツの分野にも進出するかもしれません。その利便性から官公庁でも導入されつつあり,当然ながら関連したトラブルも発生しているようです。AI自身が際限なく進化して人を凌駕し駆使するSFのような時代になることも現実味を帯びてきました。あまりにも早く進化するAIの暴走を制御するための規制や法整備がなされ始めました。音響部門でもAIによる小型で性能の優れたものが出回っています。しかしマニアには真空管の音が最高だとの根強いこだわりもあるように,懐古趣味ではありませんが急激な進歩に振り回されることなく,今は一旦立ち止まることが必要なときかもしれません。何かを得れば何かを失うのは当然です。便利過ぎるチャットGPTを試用しての空想です。

令和5年12月号